入管(出入国在留管理庁)は何をするところ?役割と手続きを徹底解説

入管という言葉は知っていても、具体的な役割や手続きについて理解している方は少ないかもしれません。外国人の方や、外国人材を雇用する企業にとって、入管での手続きは日本での活動や事業継続に直結するために極めて重要です。
本記事では、入管の主要な役割や各種手続きについて行政書士が徹底解説します。最後まで読むことで、必要な手続きと申請先が明確に把握できるでしょう。
入管の正式名称は「出入国在留管理庁」
入管の正式名称は「出入国在留管理庁」です。2019年3月以前は「入国管理局」という名称でした。出入国管理業務に加え、外国人の方の在留資格の審査や日本での活動支援まで、幅広い業務をおこなっています。
従来は、出入国審査や不法滞在の取り締まりに重点が置かれていました。しかし労働力不足の深刻化を背景とした外国人材の受け入れ拡大により、在留する外国人の方々への支援や、日本社会での共生を促進する役割も担うようになりました。
入管の主な2つの役割
入管(出入国在留管理庁)には、その名のとおり「出入国管理」と「在留管理」の2つの役割があります。以下では、それぞれについて概要を解説します。
出入国管理
日本に入国する人や、日本から出国する人を管理することです。空港や港などを通過する人がパスポートを所持しているか、有効なビザ(査証)や上陸許可を持っているかなどを審査します。
テロリストや犯罪者、感染症をもちこむ可能性がある人など、日本の安全や公衆衛生を脅かすリスクのある人物の入国を防ぐ重要な防波堤です。逆に、日本の国益に資する優秀な外国人材や、観光客などのスムーズな入国を促す役割もあります。
在留管理
日本に滞在する外国人は、活動内容に応じた在留資格(ビザ)をもっています。適正な在留資格をもっているか、在留資格で定められた範囲の活動をおこなっているか、在留期間を守っているかなどの確認をするのが入管の役割です。
在留資格について、外国人が入管でおこなう手続きについては後述します。定められたルールから逸脱した場合は、退去強制手続をとる場合もあります。
入管でできること・手続き一覧
入管(出入国在留管理庁)できることは、主に外国人の方が日本で活動するために必要な「在留資格」に関する手続きが中心です。ここでは、入管でおこなう主要な手続きについて解説します。
在留資格(ビザ)に関する手続き
日本に合法的に滞在するには、活動内容に応じた在留資格が必要です。入管では、すでに在留資格をもっている方の在留期間更新や、活動内容の変更、新たに入国する方の手続きなどをおこなうことができます。
在留期間更新許可申請
現在持っている在留資格の期間が終了したあとも、引き続き同じ活動内容で日本に滞在したい場合に必要な手続きです。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ会社員の方が、引き続き同じ会社で働く場合などが該当します。
在留期間更新の許可を受けるためには、引き続き在留資格の要件を満たしていることや、日本での素行がよいこと、税金や社会保険料などを納めていることなどが審査されます。
原則として、現在の在留期間が満了する日の3ヵ月前から申請可能です。万が一、手続きをせずに満了日を過ぎてしまうと、オーバーステイ(不法残留)となり、罰則の対象となるだけでなく、退去強制の対象にもなりかねません。早めの手続きをおすすめします。

在留資格変更許可申請
日本での活動内容に変更があり、現在の在留資格の活動範囲を超えてしまう場合に必要な手続きです。
たとえば、「留学」の在留資格をもつ方が、卒業後に日本国内の企業に就職が決まった場合、就労が可能な「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格への変更が必要です。
また、「家族滞在」の在留資格で滞在する日本人の配偶者が起業する場合、「経営・管理」の在留資格に変更します。
変更は新しい活動を開始する前に申請しなければなりません。申請から許可が下りるまでの間は、原則として現在の在留資格の活動しか認められない点に注意が必要です。
在留資格認定証明書交付申請
在留資格認定証明書(COE)は、日本の法務省が入国目的や活動内容を審査し、上陸条件に適合していると認定したことを示す「お墨付き」の書類です。外国人の方が、就労、留学、家族滞在などで、新たに日本に入国しようとする場合に必要になります。
海外にいる外国人本人に代わり、日本国内企業や学校、配偶者などの親族が入管に申請します。審査には通常1~3ヵ月程度かかるため、入国予定日から逆算して速やかな手続きが必要です。
証明書を取得したら、原本を海外にいる外国人本人に送付し、本人が母国の在外日本大使館または総領事館で査証(ビザ)申請をおこないます。

その他の主要な手続き
在留資格に関する手続きのほかに、以下のような手続きを取り扱っています。必要な手続きを忘れずにおこないましょう。
資格外活動許可
現在の在留資格で認められている活動とは別に、収入を伴う活動を行いたい場合に必要となる許可です。留学生がアルバイトをしたい場合や、家族滞在の在留資格をもつ方がパートタイムで働きたい場合などがあります。
本来の活動内容に支障が出ないよう、活動内容や時間に制限が設けられます。資格外活動許可なく収入を得る活動をおこなったり、許可された時間を超えて就労したりする行為は不法就労です。
罰則の対象となるだけでなく、在留期間の更新に悪影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。
再入国許可
在留資格の期間内に一時的に日本を出国し、その後再び日本に戻ってきて、引き続き在留活動をおこなう場合に必要な手続きです。一時的な帰省、海外出張の場合に該当します。
ただし、出国後1年以内に日本に戻る意思がある場合は、出国審査の際に意思表示するだけで済み、入管での事前申請は不要です。
出国している期間が1年を超える予定の場合や、在留期間満了まで1年を切っている場合は、出国前に必ず再入国許可申請をおこないましょう。許可を得ずに日本を出国すると、在留資格が自動的に失効し、再び日本で活動するために在留資格の申請がやり直しになってしまいます。
永住許可申請
生涯にわたって日本への在留を希望する場合に必要な手続きです。永住権を取得すると、日本での活動内容に制限がなくなり、在留期間更新の手続きも不要となるため、日本での生活基盤が安定します。
永住許可を得るには、日本での素行がよく、安定した経済基盤があり、永住を認めることが日本のためになるという条件を満たすことが必須です。申請には高度な専門知識が必要なため、行政書士に依頼するケースが多い手続きです。
退去強制手続・難民認定
退去強制手続は、日本の秩序の維持を目的としています。不法入国やオーバーステイ(不法残留)をおこなった外国人や、日本国内で法令違反により刑罰を受けた外国人を日本国外へ強制的に送還する手続きです。
入国審査官による審査を経て、法務大臣の裁決により送還が決定されます。在留資格が失効し、日本への再入国が制限される重い処分です。
一方、難民認定は、国際的な人道保護を目的としておこなわれます。人種・宗教・政治的な思想などの理由で本国で迫害を受けるおそれがある外国人が、日本に保護を求めて申請する手続きです。
難民と認定されると日本での在留が許可されます。外国人の権利や人生に大きく関わるため、入管による調査と審査は厳格です。
どこの入管に行けばいい?組織と管轄エリア
在留資格に関する手続きは、全国どこの入管でも自由におこなえるわけではなく、管轄エリアが決まっています。居住地または活動拠点を管轄する入管を把握して、申請先を間違えないように注意しましょう。
地方出入国在留管理局(本局)と出張所の違い
地方出入国在留管理庁の組織は、地方出入国在留管理局(本局)と、その下に置かれる支局や出張所という階層構造になっています。
地方出入国在留管理局(本局)は地方エリア全体の司令塔であり、すべての業務をおこなえる主要な拠点です。
支局や出張所は、本局の管轄エリアのうち特定の地域を担当する窓口です。一般的な在留資格の手続き(在留期間更新、在留資格変更、在留資格認定証明書交付など)は、支局や出張所でも取り扱っています。
全国8つのブロックと管轄
日本全国に8つの地方出入国在留管理局(本局)が設置されています。
| ブロック名 | 地方出入国在留管理局(本局) | 主な管轄エリア |
| 札幌 | 札幌出入国在留管理局 | 北海道 |
| 仙台 | 仙台出入国在留管理局 | 青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 |
| 東京 | 東京出入国在留管理局 | 東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野、新潟 |
| 名古屋 | 名古屋出入国在留管理局 | 愛知、三重、静岡、岐阜、福井、石川、富山 |
| 大阪 | 大阪出入国在留管理局 | 大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀 |
| 広島 | 広島出入国在留管理局 | 広島、岡山、鳥取、島根、山口 |
| 高松 | 高松出入国在留管理局 | 香川、徳島、高知、愛媛 |
| 福岡 | 福岡出入国在留管理局 | 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
申請の際は、現住所の都道府県がどのブロックに属するかを確認し、最寄りの適切な窓口を選びましょう。
入管は「怖い・混む」って本当?
入管での手続きについて、「混んでいて待ち時間が長い」「審査が厳しい」「窓口の雰囲気が怖い」と聞いて不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、実際の状況を正しく知って事前準備をおこなえば問題ないケースがほとんどです。ここでは、入管の噂の実際をお伝えします。
待ち時間と混雑状況
入管の窓口は、時期や時間帯によって非常に混雑することがあります。在留期間の満了日が集中する年度末から年度初めにかけての時期や、半期の節目である9月〜10月は混雑しやすいです。また、週末に準備した書類を提出する人が多いため、月曜日の開庁直後などは、待ち時間が長くなる傾向があります。
一部の地方局では、窓口での申請受付についてオンラインでの事前予約システムが導入されています。事前に予約することで、当日の待ち時間を短縮できます。
また、在留期間の更新や再入国許可など、一部の手続きはオンライン申請が可能です。窓口に行くことなく自宅やオフィスから手続きが完了するため、待ち時間の問題を根本的に解消できます。
行政書士などの専門家が申請を代行する取次申請を利用すると、申請者本人が窓口に出向く必要がなくなります。平日に時間を取れない方にとって有効な手段です。
審査の厳しさについて
入管は日本の安全と秩序を守る役割を担っているため、当然厳しく審査をおこないます。中でも審査が厳しいと感じる方が多いのは、提出書類の内容の正確性や整合性が細かくチェックされる点でしょう。
逆に、必要な書類が全てそろっていて、申請内容が事実に基づいており、要件を満たすことを客観的に証明できていれば怖いことはないのです。自分で書類を準備することに不安がある場合は、専門家である行政書士のサポートを受けることをおすすめします。
入管での手続きをスムーズに進めるための注意点
入管での手続きをスムーズに進めるには、事前の準備が鍵です。申請書類に不備や誤りがあると、審査官から追加書類の提出を求められたり、審査期間が長期化したりする原因となります。
ここでは、手続きを円滑に進めるために特に注意すべき3つのポイントを解説します。
書類は漏れや矛盾なくそろえる
入管は、申請者が提出した書類に基づいて審査をおこないます。必要な書類をすべてそろえることはもちろん、書類の内容に誤りや矛盾がないかを入念に確認しましょう。
たとえば、雇用契約書に記載された職務内容と、申請者が提出する職務経歴書の内容が異なっていると、信憑性に疑念を抱かれかねません。内容に矛盾点や不明確な点があると、入管から追加で詳細な説明資料や理由書を求められ、結果として審査期間が大幅に延長するケースもあります。
永住許可や在留資格変更申請など、過去数年間の納税、社会保険料の納付状況が厳しくチェックされる手続きでは、納税証明書に未納の記載があれば許可がおりません。
慣れない手続きで不安な場合は、事前に行政書士にチェックしてもらうとよいでしょう。

外国語の書類は翻訳を用意する
入管に提出する書類のうち、日本語で作成されていない公的な文書(外国政府が発行した婚姻証明書、出生証明書、卒業証明書など)については、日本語訳の添付が必要です。
外国語の文書を日本の入管審査官に正確に理解してもらうため、翻訳の精度はとても重要です。翻訳文には、翻訳者の氏名と連絡先を記載し、原本と翻訳文が一致していることを明確にしましょう。申請者本人が翻訳することも可能ですが、専門家に依頼するのが一般的です。
複雑な申請は行政書士などに相談する
永住許可申請、 留学から就労への在留資格変更許可申請、高度専門職や経営管理の在留資格申請などは、提出書類が多く、要件の解釈にも専門的な判断を要します。
自分で手続きをおこなって不許可となった場合、再申請にはさらに時間と労力がかかり、最悪の場合は日本での在留継続が困難になる可能性があります。 慣れない書類作成や情報収集に時間を費やした挙句、書類の不備で入管から何度も補正や追加資料を求められるケースも少なくありません。
予定していた活動開始日を大幅に過ぎてしまうなど、日本での生活に支障が出ないよう、専門家である行政書士に相談することを強くおすすめします。
行政書士に依頼するメリットとは?
入管での手続きは、自分でおこなうこともできますが、行政書士に依頼することで多くのメリットが得られます。
在留資格に関する手続きは、日本での生活基盤に関わるため、不許可となった場合の不利益は計り知れません。最新の法令や審査基準を熟知している専門の行政書士に依頼することで、手続きの成功率が高まります。
取次申請(とりつぎしんせい)とは
取次申請とは、申請者本人に代わって、行政書士などの専門家が入管に申請書を提出できる制度です。出入国在留管理庁長官に届出をして研修を受けた「申請取次行政書士」や、弁護士のみおこなうことができます。
取次申請で専門家がおこなえるのは以下のような業務です。
- 申請者本人に代わって入管の窓口に申請書類を提出すること
- 許可通知や新しい在留カードなど入管からの書類を受け取ること
- 審査中に申請内容に関する質問や追加資料の要求があった場合、申請者本人に代わって対応すること。
取次申請を利用すると、申請書類の作成から入管審査官からの問い合わせ対応まで一貫して対応してもらえます。
自分でやる場合との比較
自分で申請する場合と行政書士に依頼する場合の具体的な違いは以下のとおりです。
| 比較項目 | 自分で申請する場合 | 行政書士に依頼する場合 |
| 書類の正確性 | 書類の不足や内容の矛盾が生じやすい | 書類全体の整合性までチェックするため、不備を指摘されにくい |
| 時間・手間 | 書類収集・作成に膨大な時間を要する。窓口へ出向く手間がかかる | 書類作成・申請の手間がない(取次申請) |
| 審査の確実性 | 要件不適合や書類不備による不許可・審査長期化のリスクが高い | 不許可リスクを最小限に抑え、審査をスムーズに進められる |
| 費用 | 申請手数料のみ | 申請手数料に加え、行政書士への報酬が発生 |
行政書士に依頼すると手数料がかかりますが、手続きの手間は格段に減り、より確実な手続きが可能です。日本での在留継続に対する安心感と、時間的負担の軽減という点でコストパフォーマンスは高いといえるでしょう。
まとめ
入管(出入国在留管理庁)は、出入国や在留の管理をおこなう公的な機関です。全国の8つのブロックに地方出入国在留管理局(本局)があります。外国人の方が在留資格の手続きをする場合は、住民票をおいている市区町村を管轄する支局や出張所でも申請が可能です。
入管では、在留資格に関する手続きのほか、資格外活動許可申請や再入国許可申請も取り扱っており、日本に滞在する外国人の方との関係は切っても切れません。
不許可のリスクや手続きの複雑さから不安をもたれがちですが、適切な対応をすれば恐れる必要はありません。手続きに不安がある場合は行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
ai行政書士法人では、在留資格に関するご相談を受け付けています。ぜひお気軽にご相談ください。
