外国人労働者受け入れのメリット・デメリットは?失敗事例から学ぶ環境整備

外国人労働者受け入れのメリット・デメリットは?失敗事例から学ぶ環境整備

ハローワークに求人を出しても応募がない、若手人材が定着しないといった悩みを抱える企業にとって、外国人労働者の受け入れは有力な選択肢です。しかし、制度の複雑さや文化の違いへの不安から、二の足を踏んでいる経営者の方も少なくありません。

本記事では、2026年現在の最新法制度を踏まえ、外国人労働者を受け入れるメリット・デメリット、そして実務上の注意点をプロの視点で詳しく解説します。


目次

【2026年】外国人雇用の現状と法制度

日本の労働市場において、外国人労働者はもはや単なる労働者不足の補填ではなく、日本経済を支えるメインプレイヤーとなっています。まずは、2026年現在の最新の雇用情勢と、技能実習制度に代わる新たな柱である育成就労制度の概要を整理しましょう。

日本人採用が困難な時代における外国人労働者の位置づけ

現代の日本はかつてない少子高齢社会であり、労働者人口の減少が深刻な局面を迎えています。

かつての外国人雇用は「一時的な人手不足を解消できる」「安く雇える」というイメージが強かった時期もありました。

しかし現在、外国人労働者は現場のリーダー候補や、DX化を推進するIT人材、さらには海外展開の架け橋としての役割も期待されています。企業の成長戦略として優秀な外国人労働者を積極的に受け入れる企業が増えています。

技能実習から育成就労へ|大きな転換期を迎える制度の概要

日本の外国人雇用制度は大きな転換期にあります。長年運用されてきた技能実習制度が廃止され、2027年に育成就労制度へ完全に移行する予定です。

従来の技能実習制度は、国際貢献を目的としながら実態は労働力確保の手段となっていることや、転籍が原則不可であることによる人権侵害のリスクが指摘されてきました。

育成就労制度では、人材育成と人材確保を明確な目的として掲げています。日本語能力や就労期間などの条件を満たすと、本人の意向による転籍が可能です。企業には選ばれる職場としての魅力づくりが求められます。

外国人労働者を受け入れるメリット

外国人労働者の受け入れる際、多くの企業がまず期待するのは労働力の確保です。しかし、実際には人手不足の解消だけにとどまらず、経営に多くのプラスの効果をもたらします。ここでは、外国人雇用が企業の競争力をどのように底上げするのか、6つの具体的な観点から深掘りしていきます。

人手不足が解消できる

最もイメージしやすいメリットは、やはり人手不足の解消です。海外には、日本でのキャリアに意欲的な若者が多くいます。

国内の若手人材の獲得競争が激化する中、採用のターゲット層を世界へ広げられることで、採用活動を有利に戦える可能性が高まります。

人手不足による機会損失を防ぐことは、中小企業の経営安定化における直接的な効果と言えるでしょう。

社内のダイバーシティを推進できる

異なる文化や言語、価値観を持つ人材が職場に加わることで、組織のダイバーシティ(多様性)が高まります。

日本人社員と外国人社員のシナジー効果により、日本人の視点だけでは気がつかなかった課題や商品開発のアイデアが見出せるのは組織の強みです。

また、多様性を受け入れる土壌を育み、対外的に「開かれた企業」としてのイメージが定着すると、優秀な日本人学生や中途採用者の獲得にも有利になります。ダイバーシティは企業の競争力の源泉でもあるのです。

海外進出の足がかりとなる

外国人社員の母国語能力や、現地での商習慣理解、人脈などが、海外進出の足掛かりとなる可能性を秘めています。

自社製品・サービスを海外に展開する際、現地のニーズを理解しているメンバーがいることは重要です。現地パートナーとの交渉やマーケティング戦略立案においても、彼らの存在が強力な武器となるでしょう。

将来的に海外拠点を開設する場合、本社での業務を熟知した外国人社員をマネージャーとして現地に派遣することで、スムーズな立ち上げが可能です。外需を取り込むための社内大使として外国人労働者を活用することは、有効な経営戦略と言えます。

訪日外国人対応の即戦力となる

インバウンド需要が急増している観光業、飲食業、小売業において、外国人スタッフの雇用は売上に直結する投資です。

今の時代、SNSを通じて日本の意外な場所が注目を浴び、予期せぬタイミングで海外からの顧客が急増するケースは珍しくありません。多言語による接客や、宗教や文化の違いに配慮したサービスを提供できる体制があることは、競合に対する圧倒的な生存戦略となります。

自分の母国語や文化を理解するスタッフがいる場所は、安心して過ごせる目的地として外国人観光客に選ばれやすくなります。質の高いサービスは、SNSでのポジティブな口コミやリピーター獲得につながり、継続的な利益をもたらすでしょう。

助成金を利用できる

国や自治体は、人手不足解消と外国人労働者の定着を支援するため、さまざまな助成金制度を用意しています。

たとえば、外国人労働者が円滑に働けるよう職場環境を整備したり、指導係を配置したりする際に受給できる「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」などが代表的です。

助成金を活用することで、教育研修費、多言語化のためのシステム投資などの採用コストを大幅に軽減できます。助成金の受給は、適正な雇用管理を行っていることの証明にもなるため、企業の社会的な信頼向上にもつながるでしょう。

業務の標準化が進む

外国人に仕事を教える際は、言葉や文化の壁があるため「よしなに」や「背中を見て覚えろ」は通用しません。

誰が見ても理解できるマニュアルの作成や、写真・動画を活用した作業手順の可視化、数値による評価基準の明確化が必須です。

必然的に業務の棚卸しと標準化が進むことで、外国人だけではなく日本人の新入社員のオンボーディングや異動の際の引き継ぎがスムーズになります。外国人雇用のための環境整備が、結果として組織全体の業務フローを磨き上げ、生産性を底上げするきっかけとなるのです。

外国人労働者を受け入れるデメリット

さまざまなメリットがある一方、外国人雇用には障壁やリスクが伴うのも事実です。リスクを知らずに受け入れを開始してしまうと、早期離職や法的トラブルを引き起こし、大きな損失を招きかねません。ここでは、外国人労働者受け入れの難しさについて解説します。

言語や文化の違いによるミスコミュニケーション

たとえ日本語能力試験のレベルが高くても、現場特有の専門用語や方言、日本特有の「空気を読む」といったニュアンスは伝わりにくいものです。コミュニケーションミスが原因で作業工程を間違えたり、事故のリスクが高まったりするケースもあります。

また、文化や宗教観の違いも無視できません。たとえば、お祈りの時間やラマダン中の体調管理、上下関係の捉え方の違いなどが、日本人社員との間に摩擦を生むことがあります。

職場の雰囲気が悪化して生産性が低下しないようコントロールするのも人事の重要な役割です。既存の日本人社員と外国人社員が相互に歩み寄るための教育コストが必要になる点は覚悟した方がよいでしょう。

受け入れまでに時間がかかる

企業は採用したい、外国人は就労したいと思っていても、すぐに受け入れを開始できるわけではありません。日本人を採用するように「来月からきて」といったクイックな対応ができないのが外国人採用の難しいところです。

海外からの直接採用の場合、募集、面接、在留資格認定証明書の申請、現地大使館でのビザ発給、入国、生活基盤の準備など、入社までに多くのステップがあります。実際に働いてもらうまでには、通常4ヵ月から半年、場合によってはそれ以上の期間が必要です。

国内に住む外国人を採用する場合でも、在留資格の変更手続きなどで1〜2ヵ月はかかります。急な欠員をすぐに埋めたいというニーズには対応しづらいため、常に数ヵ月先の事業計画を見据えた採用活動が求められます。

早期離職や失踪のリスクがある

せっかく多額のコストをかけて採用しても、早期離職や失踪のリスクはつきものです。2026年以降は転籍のルールが緩和されるため、より賃金の高い都市部の企業や、労働条件のよい競合他社へ引き抜かれる可能性が高くなります。

また、母国の家族の事情やホームシック、職場での孤立などが原因で、突然帰国してしまうケースも少なくありません。離職が発生すれば、再度採用コストがかかるだけでなく、現場の士気も下がります。

リスクを回避するためには、労働条件の改善だけでなく、メンタルケアや地域コミュニティへの橋渡しなど精神面のサポート体制も整える必要があり、管理側の負担は小さくありません。

在留資格に関する手続きが複雑

外国人が日本で働くためには、就労が許可された在留資格(いわゆる就労ビザ)が必要です。在留資格の申請書類は膨大で、外国人本人だけでなく、企業の決算書や事業計画書、雇用契約書なども準備します。

書類に不備があると、申請が不許可となるリスクもあるため、専門家と連携した適切な対応が求められます。

さらに、在留期間や転職時の届出、住所変更の確認など、継続的な管理が必要です。万が一、在留資格で認められた範囲外の業務に従事させたり、在留期限切れで働かせたりすると、本人だけでなく企業側が不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

高額な罰金や今後の外国人受け入れ停止といった厳しい処分の対象となる場合もあり、社会的な信用にも関わります。

実際には人事担当者が手続きを全て担うのは難しく、行政書士などの専門家に外注するケースが多いです。日本人を採用する場合には不要な手続きと管理のコストはデメリットのひとつと言えるでしょう。

ai行政書士法人では、在留資格に詳しい行政書士が申請を代おこないたします。必要な在留資格がわからない方や、手続きに不安がある方はお気軽にご相談ください。

求める人材別の在留資格の選び方

人事担当者が外国人労働者の受け入れでつまづきがちな在留資格。種類によって、従事できる業務内容や雇用期間、求められる日本語レベルが大きく異なります。自社が求める人材に求める業務内容に見合った在留資格を選択することが重要です。ここでは、主要な3つの資格と実務的なチェックポイントを解説します。

特定技能|現場の即戦力を求める場合

人手不足が特に深刻な建設、介護、農業、外食などの分野で、一定の専門性と技能をもつ外国人を即戦力として受け入れるための在留資格です。在留資格を取得した時点で一定水準の日本語能力と技能が担保されるため、教育コストを抑えられます。

ただし、受け入れ企業には生活面での支援計画の実施が義務付けられており、自社で対応できない場合は登録支援機関に委託します。現場の労働力を中心に確保したい企業に推奨される選択肢です。

育成就労制度|長期的な人材育成も考慮する場合

育成就労制度は、従来の技能実習制度に代わる新しい制度です。外国人労働者を長期的に育成することを前提としており、企業側には育成カリキュラムの策定が求められます。未経験からスタートでき、3年間の就労を通じて「特定技能1号」レベルの技能習得が目標です。

転籍制限が一部緩和されたため、自社で働き続けたいと思わせるような教育体制と良好な人間関係を築くことが大切です。将来的に自社の中心的なスタッフとして働いてくれる生え抜き人材をじっくり育てたい企業に適した制度といえます。

技術・人文知識・国際業務|高度な専門知識が必要な場合

いわゆる就労ビザとして最も一般的なのが「技術・人文知識・国際業務」、通称「技人国ビザ」です。大学や専門学校で学んだ専門的な知識を必要とする業務に従事する外国人が対象です。

システムエンジニア、研究職、海外営業、通訳、デザイナー、マーケティング担当などの多様な職種が該当します。専門性が不要な単純労働は認められず、本人の学歴や専攻内容と実際の業務に強い関連性が求められるのが特徴です。特定の分野で高度な専門性をもった人材を取り込みたい場合に適しています。

自社の職種で雇用可能か判断するチェックポイント

自社で外国人採用を検討する場合は、具体的なペルソナを描きましょう。どのような業務を担ってもらうのか、どのような学歴・職歴・スキルセットをもった人なのかを明確化することで、必要な在留資格が見えてきます。

とりあえず人を確保して、どのような業務にアサインするかを後から決めるのは厳禁です。たとえば、「マーケティング担当として採用したが、実際には清掃や梱包ばかりさせている」というような状況は不法就労にあたるおそれがあります。

また、在留資格申請の際は、受け入れ企業の経営状態や社会保険の加入状況、過去の労働基準法違反の有無も審査対象です。求人を出す前に、行政書士や社会保険労務士などのプロに相談することを強くおすすめします。

在留資格申請の要件など、自社の外国人受け入れ体制に不安がある場合は、ai行政書士法人へご相談ください。

現場でのトラブルを防ぐための支援体制と環境整備

外国人を採用すること以上に重要なのが、採用した後にいかに定着させるかです。言葉や文化の異なる地で働く彼らにとって、職場の環境や生活サポートの質は、仕事のパフォーマンスに直結します。ここからは、「選ばれる企業」になるための支援体制のあり方や、現場レベルでの環境整備のポイントを詳しく見ていきましょう。

生活面も含めた支援体制の構築

外国人労働者は、職場だけでなく異国の地での日常生活にも不安を感じています。特に初めて日本に入国する外国人にとって、公的な手続きや病院の受診はハードルが高いものです。

住居の確保(社宅や賃貸の契約サポート)、銀行口座開設、携帯電話の契約、地域のゴミ出しルールや交通ルールのレクチャーまで、細やかな支援が求められます。

特定技能の場合は支援が義務化されていますが、それ以外の在留資格の場合も、生活の土台を会社がともに整えることで、本人の安心感と会社への信頼感が高まります。初期投資として手厚く支援し、生活のストレスが原因で心身に不調をきたしたり、トラブルに巻き込まれたりするリスクを避けましょう。

文化や仕事観の違いについて相互理解を深める

文化や習慣の違いを尊重して歩み寄る風土を組織全体で醸成することが重要です。

たとえば、日本では当たり前の「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」も、海外では「自分の判断を疑われている」とネガティブに捉えられることがあります。

単に日本では当たり前だからとルールを押し付けるのではなく、なぜ必要なのかという背景から丁寧に説明し、時にはこれまでの当たり前を変えていく柔軟性も必要です。定期的な個人面談(1on1)を設け、小さな悩みや意見を吸い上げるしくみを作りましょう。

また、人事担当者は、現場が「良かれと思って」一線を越えないよう、明確なコミュニケーションガイドラインを策定する必要があります。宗教や家庭といったセンシティブな領域に対しては、本人からの希望があれば配慮しつつも土足で立ち入らない、適切な距離感を保てる組織が信頼を得られるのです。

差別やいじめ、パワハラを許さない風土の醸成

外国人労働者に対する差別的な言動やパワーハラスメントは人権問題です。経営層は、外国人を受け入れる前に、既存の日本人社員に対して外国人雇用の意義を明確に伝え、意識改革をおこなう必要があります。

多言語でのハラスメント相談窓口の設置や、コンプライアンス研修の実施など、風通しのよい職場環境を維持するためのしくみづくりは、外国人を受け入れ前に開始しましょう。

転籍ルール変更を見据えた選ばれる職場作り

育成就労制度では、転籍ルールの緩和により、労働条件や環境が悪ければ他社に移る自由が広がります。これは、企業間の人材獲得競争がより激化することを意味します。

高い賃金だけでなく、清潔な居住環境、スキルの習得支援、良好な人間関係、将来のキャリアパスの提示など多角的に企業の魅力を高めることが重要です。「この会社で働き続けたい」と思わせるような、日本人にも誇れる職場作りをおこなうことが、新しい時代の生存戦略となります。

失敗事例から学ぶ、トラブルを未然に防ぐ4つの対策

外国人雇用における典型的なトラブルは、背景にある原因を取り除くことで防げるケースが多いです。ここでは、典型的な失敗事例とリスク回避策をケーススタディ形式で紹介します。

事例1:生活習慣の食い違いによる近隣や社内のトラブル

特定技能の在留資格で外国人を受け入れたところ、近隣住民から「外国人が夜遅くに大声で話している」「ゴミの分別が守られていない」と苦情が寄せられ、行政から指導を受けました。社内でも、掃除をしないなどの些細な習慣の違いが日本人社員の不満を爆発させ、職場環境が悪化しました。

【対策】
日本の当たり前は外国人労働者の当たり前ではありません。入国直後のガイダンスで、「なぜそうしなければならないか」という理由を含めて生活ルールを指導しましょう。

近隣住民に対しては会社が事前に挨拶に出向いて責任を持って対応することを伝え、住民同士で直接のトラブルとなることを防ぎます。社内では、指導役(メンター)を配置して橋渡し役を担ってもらうことで、感情的な対立を未然に防ぎます。

事例2:業務内容のミスマッチによる早期離職

技術を学べると期待して入社した外国人が、毎日掃除や資材運びなどの単純作業ばかりを任された結果、入社数ヵ月で他社へ転職してしまいました。 

【対策】
採用時の労働条件通知書は、全文を母国語またはやさしい日本語などで外国人が確実に理解できるように記載し、読み合わせをおこないましょう。

具体的な業務内容や将来のキャリアアップについては、本人の期待と会社の想定が食い違わないように丁寧なすり合わせが必要です。

また、定期的な面談で本人の希望と会社の期待値のズレを確認し、少しずつ責任のある仕事を任せるなど、工夫して本人のモチベーションを維持しましょう。

事例3:在留期限の管理不足による不法就労助長罪の適用

外国人社員の在留カードの期限管理を怠り、期限が切れた状態で半年間働かせていました。入管の調査で発覚し、企業側は不法就労助長罪で書類送検され、その後5年間の外国人受け入れが禁止されました。 

【対策】
在留期間の管理を担当者の記憶に頼るのは厳禁です。クラウド型の管理システムを導入し、更新申請ができる在留期限3ヵ月前から自動でアラートが出るしくみの構築を強くおすすめします。

行政書士や社労士などの専門家と顧問契約を結び、定期的な確認と更新手続きの代行を依頼することで法的リスクを大幅に減らせます。

事例4:外部委託先への任せきりによる支援放棄

特定技能の受け入れに際し、登録支援機関に費用を支払い、全てのサポートを丸投げしていました。実際には登録支援機関が適切な面談を行っておらず、本人が深刻な悩みを抱えていたにもかかわらず放置され、最終的に失踪。出入国在留管理庁から支援放棄とみなされ、是正勧告を受けました。 

【対策】
支援業務を委託する場合でも、受け入れ企業の責任がなくなるわけではありません。委託先の支援報告書を細かくチェックし、時には自社でも面談をおこなうなど、委託先とのダブルチェック体制を敷くことが重要です。

安さだけで委託先を選ばず、実務能力と信頼性の高いパートナーを選ぶ眼が求められます。

外国人受け入れにかかる費用シミュレーション

紹介料や在留資格申請の代行費用などの目に見える初期費用だけでなく、受け入れ後の管理費や社会保険料などトータルでの予算把握が欠かせません。実際にどのようなコストがかかるのか、負担を軽減するための公的支援がどのくらい期待できるのか、実務的な視点でシミュレーションします。

初期費用(紹介料、入国諸経費など)

外国人を1人雇用する際にかかる初期費用は採用ルートにより大きく異なりますが、一般的には以下のような費用がかかります。

費用項目国内採用(日本在住)海外採用(呼び寄せ)2026年現在の相場
人材紹介手数料40万円 〜 70万円50万円 〜 100万円年収の25〜35%が主流。IT系などは高めの傾向
送り出し機関手数料不要20〜50万円現地での募集・選抜・教育にかかる必須経費
在留資格申請報酬10〜20万円15〜25万円行政書士への報酬。海外呼び寄せは書類が多く高額に
在留資格申請印紙代3〜4万円(変更が必要な場合)無料2026年4月に改定
入国諸経費・渡航費不要15〜25万円航空券(燃油込)、査証代、現地・国内移動費の合計
住居・生活準備金5〜15万円20〜40万円敷礼金、家電、Wi-Fi、当面の食費補助など
初期費用 合計約55〜105万円約120〜240万円海外採用は不測の事態に備え、厚めの予算が必要

育成就労など海外からの呼び寄せの場合、外国人本人の借金を防ぐため、企業側が初期費用を全額負担するのが国際スタンダードとなっています。国内採用は一見安く済みますが、即戦力人材の奪い合いとなっており、優秀な人材ほど紹介手数料が高騰傾向にある点に注意が必要です。

将来の成長への投資と捉えるべきですが、一度に多額のキャッシュアウトが発生するため、事前に詳細なシミュレーションをおこない、資金繰り計画に盛り込んでおきましょう。

運用費用(月額管理費、登録支援委託費、社会保険料など)

採用後のランニングコストについても、日本人雇用とは異なる支出があります。

費用項目費用目安注意するポイント
登録支援委託費月額2.5〜4万円特定技能での必須経費。安すぎる業者はトラブルの原因に
社会保険料(負担分)給与の約15〜17%日本人と同等。賃金上昇に伴い負担額も微増傾向
日本語・スキル教育費月額1〜2万円オンライン学習や試験受験料の補助など
在留期間更新申請10〜15万円印紙代(2026年4月より改定)、行政書士報酬、書類取得手数料など。会社負担が一般的
管理・面談人件費月額 1万円程度現場責任者の面談時間や、生活ルールの指導にかかる工数

2026年度の法改正により、入管に支払う手数料(収入印紙代)が大幅に引き上げられる見通しです。これまでは数千円だった更新費用が、行政書士への報酬と合わせて10万円を超えるスポット支出になる可能性があります。

在留資格申請については、ai行政書士法人へご相談ください。

コストを抑えるための助成金や補助金の活用

2026年度も、外国人材の定着や環境整備を支援する公的な制度が継続される見込みです。戦略的に活用することで、実質的な負担を大幅に抑えられます。以下は、代表的な制度の一例です。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
就業規則の多言語化、雇用労務責任者の選任、苦情・相談体制の整備、一時帰国休暇制度の導入など、外国人特有の事情に配慮した環境整備を支援する助成金です。ひとつの措置導入につき20万円、最大80万円までの助成が受けられます。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)
有期雇用の外国人スタッフを正社員へ転換する場合に受給できます。特定技能などで一定期間就労した優秀な人材を、期間の定めのない正社員として雇用する際に有効です。助成額は1人あたり最大80万円程度です。

デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
多言語対応POSレジ、自動翻訳ツール、外国人労務管理システムの導入などにかかる経費の1/2〜2/3程度が助成されます。2026年度より名称変更・改編されますが、インバウンド対応や多言語化のためのIT投資を支援する枠組みは引き継がれています。

助成金の多くは事前の計画届の提出が必要であり、受給までには時間がかかります。社会保険労務士など専門家のサポートを受けると確実です。

まとめ

外国人労働者の受け入れは、人手不足を解消し、企業に新たな成長をもたらす大きなチャンスです。一方で、企業のコンプライアンス体制や職場の環境構築、生活サポートまでを徹底して対応する覚悟も求められます。 メリット・デメリットを冷静に比較し、自社の受け入れ体制を再確認しましょう。

ai行政書士法人では、在留資格についての相談を受け付けています。法的リスクに適切に対応しながら外国人材を雇用したい企業様からのご相談をお待ちしております。

編集者

  • ai行政書士法人のWeb編集部です。身近な街の法律家として、みなさまに分かりやすく情報をお届けします。

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