【2026年4月閣議決定】成年後見の終身制が廃止へ|民法改正案の内容と「デジタル遺言」創設をわかりやすく解説

【2026年4月閣議決定】成年後見の終身制が廃止へ|民法改正案の内容と「デジタル遺言」創設をわかりやすく解説

2026年4月3日、政府は成年後見制度の抜本的な見直しと「デジタル遺言」の創設を柱とする民法改正案を閣議決定しました。同日、今国会に法案が提出されており、成立すれば2028年度中にも新制度の運用が開始される見込みです。

今回の改正案には、大きく2つのテーマが含まれています。第一に、一度始めると亡くなるまで続く成年後見の「終身制」を廃止し、必要なときに必要な範囲だけ利用できる制度へと転換すること。第二に、パソコンやスマートフォンで作成した遺言を法務局が保管する「デジタル遺言(保管証書遺言)」を新たに創設することです。

いずれも、高齢化が進む日本社会において長年指摘されてきた課題に正面から応える内容であり、相続や終活に関わるすべての方にとって見逃せない制度変更です。本記事では、改正案の内容をわかりやすく整理したうえで、今後に向けて準備しておくべきことを解説します。

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目次

民法改正案の全体像

今回の民法改正案は、成年後見制度の見直しとデジタル遺言の創設という、性質の異なる2つの改正を一つの法案にまとめた点が特徴です。ここでは、改正案の概要と背景を確認します。

改正の2本柱と今後のスケジュール

改正案の第一の柱は、成年後見制度の抜本的な見直しです。現行の「後見」「保佐」「補助」の3類型を「補助」に一元化し、終身制を廃止して必要な期間だけ利用できる仕組みに変えます。第二の柱は、パソコン等で作成した遺言書を法務局が保管する「保管証書遺言」の新設です。

今後のスケジュールとしては、今国会(2026年通常国会)での審議・成立を目指し、成立すれば2028年度中の施行が見込まれています。施行までの間にシステム整備や運用ルールの策定が行われる見通しです。

なぜ今、25年ぶりの大改正なのか

成年後見制度は2000年に創設され、約25年が経過しました。この間、認知症高齢者数は増加の一途をたどり、2025年時点の推計で約700万人に達するとされています。一方で、成年後見制度の利用者数は2024年末時点で約25.4万人にとどまっており、潜在的な対象者に対する利用率は極めて低い状態が続いてきました。

利用が進まない最大の原因として指摘されてきたのが、「一度利用すると亡くなるまでやめられない」という終身制の硬直性と、「本人の意思が十分に尊重されない」という制度設計上の問題です。たとえば、遺産分割のために一時的に利用を始めたのに、望んでいない日常の財産管理まで後見人に委ねることになるケースが典型的でした。

遺言制度についても、自筆証書遺言は「全文手書き」が原則であり、高齢者にとって身体的な負担が大きいことが課題でした。こうした複数の問題に対応するため、2026年1月に法制審議会が改正要綱案を取りまとめ、2月に要綱が確定し、今回の閣議決定に至っています。

現行の成年後見制度の仕組みと課題

改正の内容を正しく理解するために、まず現行制度がどのような仕組みで、何が問題とされてきたのかを整理しておきます。

「後見」「保佐」「補助」の3類型とは

現行の成年後見制度(法定後見)は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分けられています。

「後見」は判断能力がほぼ失われている方が対象で、後見人には財産管理や契約に関する包括的な代理権と取消権が与えられます。「保佐」は判断能力が著しく不十分な方が対象で、保佐人には重要な法律行為(不動産売買、借金など)に関する同意権・取消権が付与されます。「補助」は判断能力が不十分な方が対象で、補助人には本人が同意した特定の行為についてのみ同意権や代理権が与えられます。

3類型のうち、利用件数が最も多いのは「後見」であり、全体の約7割を占めています。

終身制の問題点

現行制度の最大の課題が「終身制」です。一度成年後見が開始されると、本人の判断能力が回復しない限り、原則として亡くなるまで後見が継続します。遺産分割や不動産売却など特定の目的のために制度を利用し始めた場合でも、その目的が達成された後も後見は続き、後見人への報酬の支払いも継続します。

この仕組みが「使い始めたら一生やめられない」という心理的なハードルとなり、制度の利用をためらう大きな原因になっていました。

後見人の権限に対する指摘

もう一つの大きな課題が、後見人の権限の広さです。特に「後見」類型では、後見人に包括的な代理権が与えられるため、本人が日常的な買い物ですら自由にできなくなるケースがあります。本人の意思が十分に反映されず、後見人主導で財産管理が行われることへの不満は、利用者やその家族から長年指摘されてきた問題です。

また、専門職後見人(弁護士・司法書士等)の報酬が本人の財産から支払われ続けることへの負担感も、制度への不信感につながっていました。

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成年後見制度の5つの変更点

今回の改正案は、現行制度の課題を正面から解消することを目指しています。変更点は大きく5つに整理できます。

変更点①:終身制の廃止

改正案の最大のポイントです。補助の必要がなくなった場合、家庭裁判所が職権で制度の利用を終了させることができるようになります。また、家族からの終了申立ても可能になります。これにより、特定の目的(遺産分割、不動産売却など)のために一時的に制度を利用し、目的が達成されたら終了するという使い方が可能になります。

「一度使うと一生やめられない」という最大のハードルが解消されることで、制度利用への心理的な抵抗感が大きく軽減されることが期待されます。

変更点②:3類型を「補助」に一元化

現行の「後見」「保佐」「補助」の3類型が廃止され、「補助」に一元化されます。利用開始の条件は、(1)判断能力が不十分であること、(2)本人の同意があること、(3)制度利用の必要性があること、の3つです。

重要なのは、判断能力が大きく低下している方が制度の対象外になるわけではないという点です。従来の「後見」に相当する方も「補助」の枠組みの中で、より手厚い支援を受けることが可能です。「補助に一元化」は制度の簡素化であると同時に、類型ごとに一律に権限を決めるのではなく、個別の状況に応じた支援設計を可能にするための変更です。

変更点③:支援内容を個別に設定する「オーダーメード型」

一元化された「補助」の中で、家庭裁判所が支援対象となる行為と担当者を個別に決定します。たとえば、「遺産分割協議に関する代理権のみ」「不動産売却に関する同意権のみ」といった形で、必要な場面に限定した支援が可能になります。

これにより、日常生活は本人が自分で行い、重要な法律行為の場面だけ支援を受けるという柔軟な設計が実現します。現行制度で問題視されていた「必要以上に権限を持つ後見人に生活全般を管理される」という事態を回避できる仕組みです。

変更点④:年1回の報告義務と家裁による監督強化

担当者(補助人)には年1回の状況報告が義務付けられます。家庭裁判所がこの報告を通じて支援の適正性を継続的に確認し、必要がなくなった場合には職権で終了させることができます。

終身制の廃止と組み合わせることで、「開始→定期的な見直し→必要に応じて終了」というサイクルが制度に組み込まれ、支援が固定化するリスクを防ぐ仕組みが整えられます。

変更点⑤:既存の後見・保佐利用者も移行・終了が可能

新制度の施行前から「後見」や「保佐」を利用している方についても、補助への移行や終了の申立てが可能とされています。現在制度を利用中で「本当はやめたいが、やめられない」と感じている方やその家族にとっては、大きな意味を持つ経過措置です。

ただし、具体的な移行手続きの詳細は今後の政省令や家庭裁判所の運用方針によって定まるため、施行までの動向を注視する必要があります。

「デジタル遺言」(保管証書遺言)の創設

成年後見制度の見直しと並ぶもう一つの目玉が、デジタル遺言の創設です。正式には「保管証書遺言」と呼ばれるこの新制度は、これまでの遺言作成のあり方を大きく変える可能性を持っています。

デジタル遺言とは

デジタル遺言(保管証書遺言)とは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器を使って作成した遺言書を、法務局(遺言書保管所)に提出・保管する新しい遺言方式です。遺言の送信から本人確認まで、すべて自宅から完結できる仕組みが目指されており、利便性の大幅な向上が期待されます。

現在、自分で遺言を作成する場合は「全文手書き」が原則(自筆証書遺言)であり、高齢者にとっては身体的な負担が大きく、書き間違いによる無効リスクも少なくありませんでした。デジタル遺言はこの問題を解消する制度として位置づけられています。

現行の遺言方式との比較

現行の主な遺言方式には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。新たに創設される「保管証書遺言」を含めた3つの方式を比較すると、それぞれの特徴が明確になります。

比較項目自筆証書遺言公正証書遺言保管証書遺言(新設)
作成方法全文手書き(財産目録はPC可)公証人が作成PC・スマホで作成可
本人確認なし(法務局保管制度利用時は対面確認)公証人が対面で確認顔写真付き身分証+電子署名+全文口述
保管方法自宅保管 or 法務局保管公証役場に原本保管法務局がデータ保管
検認必要(法務局保管の場合は不要)不要不要
費用目安低い(法務局保管は3,900円)公証人手数料(遺産額に応じて数万円〜)未定(今後の政省令で決定)
証人不要2人以上必要不要

なりすまし・改ざん防止の仕組み

デジタルデータは手書きの筆跡による本人確認ができないため、なりすましや改ざんを防ぐための厳格な仕組みが導入されます。

第一に、マイナンバーカード等の顔写真付き身分証明書による本人確認が行われます。法務局の遺言書保管官が対面(又はウェブ会議)で本人であることを視認確認します。第二に、遺言者は電子署名法に基づく電子署名をデータに付与する必要があります。実務上はマイナンバーカードを用いた公的個人認証サービスの利用が想定されています。第三に、遺言者は保管官の面前で遺言の全文を口述しなければなりません。

これら3つの要素を組み合わせることで、「本人が、自らの意思で、その内容の遺言を作成した」ことを多層的に担保する設計となっています。

デジタル遺言の注意点

デジタル遺言は利便性が大きく向上する一方で、いくつかの重要な注意点があります。

最大のポイントは「全文口述」の要件です。遺言者は法務局の保管官の前で、遺言の全文を自ら読み上げなければなりません。単に「はい」と確認するだけでは足りず、内容のすべてを言葉にする必要があります。高齢者にとっては緊張や体調の問題もあり、これが実務上のハードルとなる可能性があります。

また、ウェブ会議での手続きも認められますが、保管官が画面を通じて遺言者の周囲に他者がいないことを厳格に確認するため、家族や専門家が隣でサポートすることは原則としてできません。

一方、公正証書遺言であれば、公証人が内容を読み聞かせて本人が承認する形がとれるため、口述の負担は大幅に軽減されます。また、専門家が証人として同席できるため、安心感も高まります。デジタル遺言と公正証書遺言のどちらが適しているかは、遺言者の状態や希望に応じて個別に判断する必要があるといえます。

施行までに準備しておくべきこと

今回の改正案は、今国会での成立後、2028年度中の施行が見込まれています。すぐに制度が変わるわけではありませんが、施行に向けて今から準備しておくべきことがあります。

成年後見を利用中・検討中の方がやるべきこと

現在「後見」や「保佐」を利用中の方は、新制度の施行後に補助への移行や終了の申立てが可能になります。「今の後見の状態を変えたい」と考えている方は、施行時期や移行手続きの詳細が発表され次第、速やかに対応できるよう準備を進めておきましょう。

これから制度の利用を検討している方は、現行制度で開始するか、新制度の施行を待つかの判断が必要になります。認知症の進行状況や遺産分割の緊急性など個別の事情によって最適な判断は異なるため、専門家に相談したうえで方針を決めることをお勧めします。

また、成年後見制度の利用に至る前の段階として、「任意後見契約」を活用する方法もあります。判断能力が十分なうちに、将来の後見人や支援内容を自分で決めておく任意後見制度は、新制度のもとでも引き続き有効な選択肢です。元気なうちに準備しておくことで、将来の選択肢を広げることができます。

遺言作成を検討中の方がやるべきこと

デジタル遺言の施行は2028年度中の見込みであり、現時点ではまだ利用できません。しかし、「デジタル遺言が使えるようになったら作ろう」と先送りにするのは得策ではありません。遺言は「必要なときに存在していること」が最も重要であり、制度の施行を待っている間に万一のことがあれば、遺言がないまま相続が発生してしまいます。

現時点では、法務局の自筆証書遺言書保管制度(2020年7月開始)や公正証書遺言を活用して遺言を作成しておき、デジタル遺言の施行後に必要に応じて書き換えるというのが現実的なアプローチです。

行政書士に相談するメリット

成年後見制度の利用を検討する場面でも、遺言の作成を考える場面でも、行政書士は幅広くサポートできる専門家です。

成年後見の分野では、任意後見契約の作成支援、制度利用に関する相談、家庭裁判所への申立て書類の作成などを行います。遺言の分野では、遺言書の原案作成、公正証書遺言の作成サポート、法務局への保管手続きの代行などが可能です。さらに、相続発生後の遺産分割協議書の作成まで一貫して対応できるため、将来の相続を見据えたトータルなサポートが受けられます。

今回の民法改正は、成年後見と遺言という2つの分野にまたがる大きな制度変更です。ご自身やご家族の状況に最適な対策を講じるために、早い段階で専門家に相談しておくことが、安心への第一歩となります。

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まとめ

2026年4月3日に閣議決定された民法改正案は、成年後見の終身制廃止と「補助」への一元化、そしてデジタル遺言の創設を柱とする、約25年ぶりの大改正です。

成年後見制度については、「必要なときに必要な範囲だけ利用できる」オーダーメード型の仕組みへと転換することで、長年の課題であった使い勝手の悪さが解消される方向です。既存の後見・保佐利用者も新制度への移行や終了が可能とされており、現在制度を利用中の方にとっても大きな意味を持つ改正です。

デジタル遺言については、パソコンやスマホでの作成が可能になることで遺言作成のハードルが下がる一方、全文口述や電子署名などの厳格な本人確認が求められます。利便性が向上する半面、公正証書遺言との使い分けが重要になる場面も出てくるでしょう。

施行は2028年度中の見込みですが、今から制度変更の内容を理解し、ご自身やご家族にとって最適な対策を検討しておくことが重要です。成年後見や遺言作成についてお悩みの方は、ai行政書士法人までお気軽にご相談ください。制度改正の最新動向を踏まえて、専門家が丁寧にサポートいたします。

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  • ai行政書士法人のWeb編集部です。身近な街の法律家として、みなさまに分かりやすく情報をお届けします。

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