建設業で役員変更があったときに必要な手続きは?手順や注意点など解説!

建設業許可を取得している会社で役員変更があった場合、「何を・いつまでに・どこへ」手続きすべきかわからず不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
役員変更は単なる社内人事ではなく、建設業法に基づく変更届や、許可要件への影響確認が必要となる重要な手続きです。対応を誤ると、許可更新や入札、取引に支障が出るおそれもあります。
本記事では、建設業で役員変更があった際に必要な手続きの全体像から、具体的な手順、注意点、手続きを怠った場合のリスクまでをわかりやすく解説します。
建設業で役員変更があった際は変更届が必要
建設業許可を受けている事業者は、役員に変更があった場合、原則として「変更届」の提出が必要です。役員の就任・退任・重任・代表取締役の変更などは、建設業法上の重要な変更事項とされており、行政庁が会社の体制や適格性を把握するための情報といえるでしょう。
届出を怠ると、指導や許可更新時のトラブルにつながるため、役員変更が生じた場合は速やかに内容を確認し、適切な手続きをおこなうことが重要です。
建設業許可における役員の範囲とは?
建設業許可における「役員」とは、会社法上の役員に限らず、実質的に経営に関与している人物も含まれる点が特徴です。
具体的には、株式会社であれば代表取締役・取締役・監査役が対象となり、持分会社では業務執行社員が該当します。また、登記上の役職がなくても、支配人やこれに準ずる立場で経営判断に関与している場合は、役員とみなされるケースもあります。
そのため、単なる肩書きだけで判断せず、実態ベースで該当性を確認しましょう。
役員変更に伴う建設業許可上の影響とは?
役員変更そのものがただちに建設業許可の取消しや停止につながるわけではありませんが、変更内容によっては大きな影響を及ぼすことがあります。
特に、新任役員が経営業務の管理責任者やその補佐として位置づけられている場合や、欠格要件に該当する経歴がある場合は注意が必要です。また、代表取締役の変更は、許可の基盤となる経営体制の変更とみなされるため、審査の対象となることがあります。
必要書類は?
役員変更届に必要な書類は、変更内容や行政庁によって多少異なりますが、一般的には「変更届出書」「役員等の一覧表」「登記事項証明書」が基本です。
新たに就任した役員がいる場合は、住民票記載事項証明書や身分証明書、誓約書の提出を求められることもあります。また、経営業務の管理責任者や欠格要件に関わる役員の場合は、追加資料が必要になるケースもあります。事前に提出先の自治体の手引きを確認しましょう。
提出期限は?
建設業許可における役員変更届の提出期限は、原則として「変更があった日から30日以内」と定められています。
ここでいう変更日とは、役員の就任日や退任日、代表者変更日など、登記上の効力が発生した日を指すのが一般的です。期限を過ぎてしまうと、行政指導の対象となったり、許可更新時に不利になる可能性があります。
役員変更が決まった段階で、速やかに書類準備を進めることが重要です。
建設業の役員変更で届け出が必要になるケースとは
建設業の役員変更は、就任や退任だけでなく、氏名・住所の変更、株主構成の変化なども届出対象となる場合があります。
ここでは、特に見落とされやすい届出が必要な具体的ケースについて整理していきます。
役員(取締役・監査役など)が就任・退任した場合
取締役や監査役などの役員が新たに就任、または退任した場合は、建設業許可に関する変更届の提出が必要です。
これは、役員が会社の経営や意思決定に関与する立場であり、欠格要件に該当しないかを行政庁が確認する必要があるためです。たとえ非常勤や名目的な役員であっても、登記上の役員であれば届出対象です。
なお、任期満了による重任であっても、形式上の変更があれば届出が必要とされる点には注意が必要です。
役員の氏名・住所が変更になった場合
役員の氏名や住所に変更が生じた場合も、建設業許可上の変更事項として届出が求められます。結婚による改姓や引越しによる住所変更など、一見軽微に思える内容であっても、許可情報との不一致が生じるため届出が必要です。
変更を放置すると、更新申請時に差戻しや追加書類の提出を求められる可能性があるため、速やかに対応しましょう。
5%以上の株主の就任・削除
建設業許可では、一定の影響力をもつ株主についても届出対象とされており、原則として議決権の5%以上を保有する株主の就任や削除があった場合には変更届が必要です。
これは、大口株主が実質的に経営へ影響を及ぼす可能性があるため、役員に準じて欠格要件の確認がおこなわれるからです。
株式の譲渡や増資などにより保有割合が変動した場合でも、結果として5%以上に該当・非該当となった場合は届出が必要となるため、株主構成の変化には注意が必要です。
代表者の変更があった場合
代表取締役など会社の代表者に変更があった場合は、必ず変更届を提出しなければなりません。
代表者は、建設業法上の責任主体であり、経営業務の管理責任者を兼ねているケースも多いため、許可要件への影響が大きいとされています。新代表者が欠格要件に該当しないか、経営経験の要件を満たすかなどを慎重に確認する必要があります。
事前確認を怠ると、許可維持が困難になる可能性もあるため注意が必要です。
建設業で役員変更があった際の手続きの流れ
建設業で役員変更が決まった場合は、一定の順序に沿って手続きを進めることが重要です。
登記をおこなわなかったり、書類準備・届出のタイミングを誤ったりすると、手続きが滞る原因になってしまいます。ここでは、役員変更後におこなうべき一連の流れを、実務の順番に沿って解説します。
役員変更の事実が発生したら登記を先におこなう
役員の就任・退任や代表者変更が決定した場合、まず会社法に基づく役員変更登記を行います。
建設業許可の変更届では、登記事項証明書の提出が求められるため、登記が完了していない状態では手続きを進めることができません。役員変更登記には原則として変更日から2週間以内といった期限があるため、株主総会や取締役会の決議後は速やかに登記申請をおこなうことが重要です。
登記を先に済ませることで、そのあとの建設業許可手続きを円滑に進めることができます。
建設業許可の変更届に必要な書類を収集する
登記が完了したら、次に建設業許可の変更届に必要な書類を収集します。
一般的には、変更届出書、登記事項証明書、役員等一覧表が基本書類ですが、新任役員がいる場合は、住民票記載事項証明書や身分証明書、誓約書などの追加書類が必要となることがあります。
また、欠格要件の確認が必要なケースでは、さらに資料が必要な場合もあります。提出先の行政庁ごとに細かな様式や添付書類が異なるため、事前に手引きや公式案内を確認するのが重要です。
変更届出書を作成し、許可行政庁へ提出する
必要書類がそろったら、建設業許可の変更届出書を作成し、許可を管轄する行政庁へ提出します。
提出先は、国土交通大臣許可か都道府県知事許可かによって異なりますが、原則として主たる営業所の所在地を管轄する行政庁へ提出する場合が多いです。提出期限は多くの場合、変更日から30日以内とされているため、期限管理が重要です。
内容に不備があると差戻しになることもあるため、記載内容や添付書類を十分に確認したうえで提出しましょう。
受理後、控えを受け取り社内保管する
変更届が行政庁に受理されると、受付印が押された控えが返却されます。
この控えは、建設業許可に関する重要な公的記録となるため、許可通知書や過去の届出書類とともに社内で適切に保管しておく必要があります。許可更新や業種追加、行政からの照会があった際に提示を求められることも多いため、すぐに確認できる状態にしておきましょう。
電子申請の場合も、受理済みデータの保存を忘れないよう注意が必要です。
社内関係部署へ変更内容を周知し、取引先にも必要に応じて通知する
役員変更に伴う法的手続きが完了したあとは、社内の関係部署へ変更内容を周知するのも重要です。
経理・総務・営業部門などでは、代表者名や役員構成が契約書や請求書に影響する場合があります。また、代表者変更があった場合は、金融機関や主要取引先へ通知が必要となることもあります。
社内外で情報の不一致が生じると、契約手続きの遅れや信用面での問題につながるため、実務面でのフォローも忘れずにおこなうことが大切です。
建設業で役員変更がある際の注意点
建設業で役員変更がある場合、特に、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を満たし続けられるかどうかの事前確認は不可欠です。
ここでは、役員変更時に必ず押さえておきたい注意点を解説します。
経営業務の管理責任者が欠けないよう要件を確認する
役員変更においてもっとも注意すべき点のひとつが、経営業務の管理責任者(経管)の要件を満たし続けられるかどうかです。
多くの建設会社では、代表取締役や取締役が経管を兼ねているため、その人物が退任すると要件を欠くおそれがあります。後任者が経管要件を満たしていない場合、許可の維持が困難になることもあります。
役員変更をおこなう前に、後任候補の経営経験や補佐経験が基準を満たすかを事前に確認し、必要に応じて複数案を検討するのが重要です。
専任技術者の配置要件に影響がないか確認する
役員変更が専任技術者の配置に影響しないかどうかも、事前に確認すべき重要なポイントです。
特に、役員が専任技術者を兼ねている場合、その役員が退任・異動してしまうと、営業所に専任技術者が不在となる可能性があります。専任技術者は営業所ごとに常勤での配置が義務付けられているため、欠員が生じると許可要件を満たさなくなってしまいます。
新任役員の略歴・実務経験などの確認を事前におこなう
新たに役員へ就任する人物については、略歴や実務経験、過去の経歴を事前に十分確認しておくことが重要です。
建設業許可では、役員が欠格要件に該当しない必要があり、過去の法令違反や一定の処分歴がある場合、許可維持に影響する可能性があります。また、経管やその補佐として位置づける予定がある場合は、経営に関与していた期間や業務内容を具体的に説明できるかも確認が必要です。
事前確認を怠ると、届出後に問題が発覚するおそれがあります。
登記事項証明書の内容と変更届の記載内容は一致させる
建設業許可の変更届を提出する際は、登記事項証明書の記載内容と届出書類の内容を完全に一致させることが重要です。
役員の氏名表記や住所、就任日・退任日などに相違があると、形式不備として差戻しや修正を求められることがあります。特に、旧字体や表記ゆれ、住居表示と地番の違いなどは見落とされがちです。
提出前には、登記事項証明書を基準に、全ての書類を照合し、正確性を確保しましょう。
公共工事参加会社は入札資格の更新も忘れずにおこなう
公共工事に参加している建設業者の場合、役員変更は建設業許可だけでなく、入札参加資格にも影響を与える点に注意が必要です。
多くの自治体では、役員や代表者に変更があった場合、入札参加資格の変更届や再審査が必要です。
これを怠ると、入札に参加できなくなったり、指名停止などの不利益を受ける可能性があります。
役員変更後は、建設業許可の変更届とあわせて、各発注機関の入札資格要綱を確認し、必要な手続きを漏れなくおこなうことが重要です。
建設業で役員変更があったのに手続きをしない場合のペナルティ
建設業で役員変更があったにもかかわらず、必要な届出を行わない場合、建設業法違反となる可能性があります。軽微な見落としのつもりでも、後々の許可更新や審査で不利に働くことも少なくありません。
ここでは、手続きを怠った場合に想定される具体的なリスクやペナルティについて解説します。

許可の更新・変更審査で不利になる
役員変更届を提出していない場合、建設業許可の更新や業種追加、新規申請などの審査時に不利な扱いを受ける可能性があります。
審査では、過去の変更届が適切に行われているかも確認されるため、未提出や遅延があると是正指示や追加書類の提出を求められることがあります。場合によっては、更新手続きがスムーズに進まず、期限ぎりぎりでの対応を余儀なくされることもあります。
許可維持の観点からも、日常的な届出管理が重要です。
営業停止や許可取消しの処分に発展する可能性
役員変更の未届けがすぐに重い処分につながるケースは多くありませんが、是正指導に従わない場合や、虚偽申請・隠ぺいと判断された場合には、営業停止や許可取消しといった行政処分に発展する可能性があります。
特に、欠格要件に該当する役員がいるにもかかわらず届出を行っていない場合は、悪質とみなされるリスクが高まります。結果として、事業継続そのものが困難になるおそれもあるため、注意が必要です。
法令違反として行政指導の対象になる
建設業法では、一定の事項に変更があった場合、期限内に届出をおこなう義務が定められています。これに違反すると、行政庁からの指導や是正勧告の対象となることがあります。
指導内容は、文書による注意や期限を定めた改善指示などが一般的ですが、指導履歴は行政内部で管理されます。そのため、将来の申請や監督処分の判断材料として考慮される可能性もあり、継続的な法令遵守体制が求められます。
取引先・金融機関からの信頼低下につながる
役員変更手続きを怠っていることが外部に知られた場合、取引先や金融機関からの信頼低下につながるおそれがあります。
建設業許可は、法令を遵守して事業を行っている証でもあるため、その管理がずさんでは「コンプライアンス意識が低い会社」と評価されかねません。特に、公共工事や大規模案件では、許可状況や法令遵守体制が重視されます。
結果として、融資審査や取引条件に影響が出る可能性もあるため、適切な手続きが重要です。
建設業の役員変更で必要なその他の手続き
建設業許可の変更届以外にも、役員変更に伴って対応が必要となる手続きは数多くあります。銀行や税務署、社会保険、取引先など、対応漏れがあると実務に支障が出ることもあります。
ここでは、役員変更後にあわせて確認しておきたい主な関連手続きを紹介します。
代表者変更時の銀行手続き
代表者が変更になった場合、取引金融機関での代表者変更手続きが必要です。
具体的には、代表者印の変更届、印鑑証明書、登記事項証明書、新代表者の本人確認書類などの提出が必要です。これを行わないと、口座からの振込や融資契約の締結、手形取引などに支障が出る可能性があります。
特に建設業では資金の出入りが多いため、銀行手続きをあと回しにすると業務に直接影響します。代表者変更後は、速やかに主要取引銀行へ連絡しましょう。
社会保険・労働保険関係の手続き
役員変更、特に代表者変更があった場合には、年金事務所や労働基準監督署、ハローワークへの届出が必要となることがあります。
健康保険・厚生年金では、事業主変更届や被保険者資格に関する届出が必要となるケースがあります。また、労働保険においても、代表者名義の変更届を求められることがあります。
これらの手続きを怠ると、保険給付や手続きに支障が生じる可能性があるため、社会保険労務士などの専門家と連携して正確に対応するようにしましょう。
税務署への届出
役員や代表者に変更があった場合、税務署への届出も必要です。
代表者変更時には、「異動届出書」を提出し、法人設立届出書の記載内容を更新します。これを行わないと、税務署からの通知や連絡が旧代表者宛に届くなど、実務上の混乱が生じる可能性があります。
また、源泉所得税や法人税の納付手続きにも影響が出ることがあります。提出期限は比較的短いため、登記完了後は速やかに税務手続きを進めることが重要です。
取引先・元請会社への情報更新
役員変更、特に代表者変更があった場合は、主要な取引先や元請会社へ情報更新の連絡をおこないましょう。
建設業では、契約書や注文書、請求書に代表者名が記載されるケースが多く、情報が古いままでは契約締結や支払いに支障をきたすことがあります。また、元請会社によっては、役員変更届や登記事項証明書の提出が必要になることもあります。
信頼関係を維持するためにも、早めの連絡と書面での対応をおこないましょう。
各種許認可の名義変更や届出(必要な場合のみ)
建設業許可以外にも、会社が保有している各種許認可について、役員や代表者変更に伴う名義変更や届出が必要となる場合があります。たとえば、産業廃棄物収集運搬業許可や宅建業免許などでは、代表者変更が届出事項とされています。
これらの手続きを怠ると、無許可営業とみなされるリスクもあるため注意が必要です。自社がどの許認可を保有しているかをあらためて確認し、該当する手続きを整理しましょう。
建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者情報変更
建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録している事業者は、役員や代表者に変更があった場合、事業者情報の変更手続きをおこなう必要があります。
CCUSの情報は、元請・発注者が事業者情報を確認する際の基礎データとなるため、代表者名や会社情報が古いままでは、現場入場時の確認や評価に影響する場合もあります。
オンラインで手続きできるので、ほかの変更手続きとあわせて早めに対応しましょう。
社内書類・契約書・印章の更新
役員変更後は、社内で使用している各種書類や契約書の様式、印章の見直し・更新も必要です。
代表者印や社判が旧代表者名のまま使用されていると、契約内容の正当性を問われるおそれがあります。また、社内規程や稟議書、名刺、会社案内なども更新する必要がないかチェックしましょう。
これらを放置すると、社内外で情報の不一致が発生し、業務効率や信用面に悪影響を及ぼすため、計画的な更新が重要です。
まとめ
建設業における役員変更は、建設業許可の変更届をはじめ、さまざまな法的・実務的対応が必要な重要な手続きです。
届出漏れや確認不足があると、許可の維持や取引関係に悪影響を及ぼすおそれがあるため、役員変更が決まった段階で全体像を把握し、早めに準備を進めることが、トラブル防止と円滑な事業運営につながります。
手続きに不安がある場合や確実に進めたい方は、無料相談にも対応している建設業許可の専門家「ai行政書士法人」へぜひ一度相談してください。
