【パターン別】就労ビザの取得方法と手順を解説!

【パターン別】就労ビザの取得方法と手順を解説!

外国人を採用する企業や、日本での就職を目指す外国人の方にとって、就労ビザ(在留資格)の手続きは重要なポイントです。しかし、状況によって必要な手続きや書類が異なり、不安を感じる方も多いのが実情です。

本記事では、外国人が日本で働くために必要な就労ビザの取得方法について、採用パターン別にわかりやすく解説します。最後まで読むことで、適切な手続きとスムーズなビザ取得のための注意点がわかります。ぜひ、今後の手続きにお役立てください。

目次

外国人が日本で働くには就労ビザ(在留資格)が必要

日本に在留するすべての外国人は、活動内容に応じた在留資格が必要です。日本で働くためには、就労が認められる種類のビザ(いわゆる就労ビザ)を取得しましょう。外国人を採用する企業は、採用予定の外国人が適切な就労ビザを取得できるか、または保有しているかを確認することが重要です。

原則として本人申請・企業がサポートすることも

就労ビザの申請は、原則として外国人本人がおこなうこととされています。しかし、実際には採用する企業が申請書類の準備や出入国在留管理庁(入管)への提出をサポートするケースがほとんどです。

提出書類には、雇用契約書、企業の登記事項証明書、事業内容がわかる資料など、企業側が準備するべき書類が多く含まれます。特に、海外にいる外国人を呼び寄せる場合は、企業の協力が必須です。

申請にかかる期間と費用の目安

就労ビザの申請にかかる期間は、申請する在留資格の種類や、出入国在留管理庁の混雑状況、提出書類の精度によって大きく変動します。

海外からの新規採用の場合、目安として1~3ヵ月程度を見ておくのが一般的です。日本国内での転職や在留資格変更の場合は比較的早く終わることもありますが、余裕をもったスケジュールが必要です。

申請にかかる手数料は、申請の種類によって異なります。

申請の種類手数料 (2025年4月1日以降)備考
在留資格認定証明書交付申請 (COE)無料新規に海外から外国人を呼び寄せる場合など
在留期間更新許可申請6,000円 (オンライン申請は5,500円)在留期間の延長
在留資格変更許可申請6,000円 (オンライン申請は5,500円)別の在留資格への変更

行政書士などの専門家に代行を依頼する場合は、申請種類にもよりますが10万円~30万円程度が目安となります。行政書士の専門性を活用することで、不備なく迅速に手続きを進められるため、時間と手間を削減できるメリットがあります。

適切な在留資格をもたずに就労すると企業も罰せられる

外国人を雇用する企業は、不法就労をさせないよう注意が必要です。就労ビザをもたない外国人を雇用したり、就労可能な在留資格でも許可された範囲を超えた活動をさせたりすると、本人だけでなく企業も罰則の対象となります。

不法就労助長罪に問われると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。罰せられるだけでなく、企業としてのコンプライアンス意識を疑われ、社会的な信用も失墜してしまいます。

企業としては、採用前に在留資格の有無、種類、在留期間を必ずチェックするなど、適切な管理が必須です。

就労ビザの種類|あなたの職種はどれ?

外国人が日本で働くための就労ビザ(在留資格)は、職務内容や求められる専門性に応じて細かく分かれています。ここでは、代表的な就労ビザの種類と、どのような職種に適用されるのかを解説します。

技術・人文知識・国際業務

このビザは、大きく技術分野、人文知識分野、国際業務分野の3つに分けられます。

技術分野は、ITエンジニア、機械設計、科学技術者などの理系の専門職、人文知識分野は、営業、経理、マーケティング、商品開発などの文系の専門職が該当します。国際業務分野は、通訳・翻訳、語学の指導、海外取引業務など、外国の文化や思考が求められる業務が該当します。

それぞれの分野の職種と業務内容の例は以下のとおりです。

分野職種の例業務内容の例
技術ITエンジニア、機械設計、建築設計などシステム開発、製品開発、工事監理など
人文知識経理・財務、法務、マーケティングなど会計処理、契約書審査、事業計画策定など
国際業務通訳・翻訳、海外営業、デザイナーなど外国語指導、海外との商談、外国文化に基づく企画

単純作業ではなく、学歴や職歴で培った専門的な知識や技術が必要な業務に従事するための在留資格です。

業務に関連する専門分野について、大卒または10年以上(国際業務は3年以上)の実務経験が求められます。

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特定技能

人手不足が深刻な特定の産業で外国人材を受け入れるため、2019年に新設された在留資格です。2025年12月現在、以下の12分野が対象となります(対象分野は拡大が検討されており、今後変更の可能性があります)。

分野職種・業務内容の例
介護入浴・食事・排泄などの介助、レクリエーションの実施など
ビルクリーニング建築物内部の清掃(床、窓、壁などの清掃、ワックスがけなど)
農業耕うん・種まき・栽培管理・収穫などの耕種農業全般、飼育・集卵・出荷などの畜産農業全般
漁業漁具の製作・補修、漁船での水産動植物の採捕、養殖場での養殖管理、魚の選別・加工
建設型枠、左官、屋根工事、電気通信、土木など、19の職種における建設現場での実務作業
飲食料品製造業食品・飲料の製造加工、安全衛生管理
外食業飲食物の調理、接客、店舗管理(食材の在庫管理、清掃など)
宿泊宿泊施設のフロント、接客、レストランサービス、企画広報など
製造業 (素形材・産業機械・電気電子情報関連)機械加工、溶接、金属プレス加工、電気機器組み立てなど、18分野における製造作業
自動車整備日常点検、定期点検、分解整備、軽度の故障診断・修理など
航空航空機の機体や装備品の整備、地上支援業務(荷物や燃料の積み下ろしなど)
船舶 (造船・舶用工業)溶接、塗装、鉄工、機械加工、電気機器組立てなど、11分野における作業

上記の分野で多くの方が取得する「特定技能1号」の在留資格は、単純労働を含む現場作業が中心で、学歴要件はありません。ただし、特定の分野での技能試験と日本語能力試験(N4程度)に合格する必要があります。在留は通算5年までで、家族の帯同はできません。

建設分野と造船・舶用工業分野の一部の職種については、特定技能1号で日本に滞在したあと、より高度な基準を満たすと「特定技能2号」への移行が許可されます。2号には5年の在留期限がなく、配偶者や子を帯同できる点が主な違いです。

経営・管理

日本で事業を立ち上げる外国人起業家や、企業の取締役・支店長・管理部門の部長などのポジションで活動する外国人が対象です。

ビザの取得には、事業の継続性・安定性を証明できる事業計画や、500万円以上の資本金または出資、オフィスの設置、2名以上の常勤従業員などの要件があります。

新規の法人設立や初回申請時は1年、事業が安定している場合は3年または5年の在留期間となるケースが多いです。在留期限が来るたびに、事業の継続性と安定性を厳しく確認されます。

企業内転勤

海外で既に専門的な業務に従事している社員を、日本の事業所に一時的に転勤させるためのビザです。転勤する直前の1年以上、海外の事業所で関連業務に従事していたことが要件です。

また、日本での業務内容は、技術・人文知識・国際業務ビザの対象となる専門的な活動に該当することが求められます。単純労働や専門性に乏しい業務では認められない点に注意が必要です。

技能

「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能」が必要な業務に従事する外国人が対象です。法律上、対象となる職種は明確に定められていませんが、たとえば以下のような職種があります。

・外国料理の調理師・料理人
・航空機パイロット
・スポーツトレーナー・指導者
・プロスポーツ選手
・貴金属・毛皮加工職人
・動物の調教師
・ソムリエ・バーテンダー
・外国特有の建築技術者

多くの職種で10年以上の実務経験が必要とされるなど、高度な熟練度が求められます。ただし、外国料理の調理師の場合、「タイ料理」「フランス料理」など、特定の国・地域で修得した調理技能を活かす場合、3年の実務経験で許可される特例があります。

従事させようとする業務と外国人の経験が「技能」の要件を満たすかどうかは、行政書士などの専門家に確認すると確実です。

高度専門職

学歴、職歴、年収などの項目をポイント化し、合計が70点以上となった「高度外国人材」に与えられる在留資格です。優秀な人材を日本に積極的に受け入れることを目的としており、以下の3つの活動類型があります。

類型職種の例業務内容の例
高度学術研究活動大学教授、研究者、博士研究員(ポスドク)、研究開発部門の管理者大学や公的な研究機関における研究、研究指導、企業の研究部門での開発業務の統括
高度専門・技術活動上級ITコンサルタント、グローバルマーケティング責任者、高度な技術をもつエンジニア高度な専門知識を活用した戦略立案、技術指導、国際的な事業展開やコンサルティング業務
高度経営・管理活動CEO、CFO、事業部門統括役員、海外企業日本法人の代表者企業全体の経営戦略の立案・執行、資金調達、組織の管理・運営など、高度な経営判断を伴う活動

在留期間が5年間と長く、配偶者の就労や親の帯同が認められるなど、優遇措置が受けられる点が、「技術・人文知識・国際業務」ビザや「経営・管理」ビザにはない魅力です。また、永住許可の申請要件も、在留期間が通常10年のところ、ポイントが70点で3年、80点で1年に短縮されます。

医療、教育、法律・会計業務、教授など

上記の代表的な在留資格以外にも、特定の専門性の高い業務に就くための在留資格があります。

在留資格の名称対象となる職種・業務内容の例求められる専門性/要件
教授大学、高専、専修学校など高等教育機関における教授、助教授、助手、研究員など教育・研究活動が主であること
教育小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などにおける教員(語学を含む)小中高の教員免許や、教育機関との契約
研究研究所、企業の研究開発部門における研究員、調査員など研究機関や企業との契約
医療医師、歯科医師、薬剤師、看護師など日本の国家資格
法律・会計業務弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など日本の国家資格
芸術作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など、収入を伴う芸術活動芸術分野における評価や実績
報道新聞記者、雑誌記者、編集者、報道カメラマン、アナウンサーなど報道機関との契約
介護介護福祉士の資格をもつ者による介護業務介護福祉士資格
興行俳優、歌手、ダンサー、演奏家、モデル、スポーツ選手など演劇、演芸、演奏、スポーツなどの興行活動をおこなうこと
宗教僧侶、司教、宣教師などの宗教家外国の宗教団体から派遣され、布教などの宗教活動をおこなうこと
外交・公用外交官、領事官や外国政府の公的な職員とその家族など外交関係や公的機関との関係に基づく
技能実習海外の子会社等から受け入れる技能実習生、監理団体を通じて受け入れる技能実習生など日本で技能を修得し、帰国後に母国に活かすことが目的

在留資格の種類ごとに細かい要件が定められているため、保有する国家資格や雇用・業務委託契約などが要件を満たすか確認することが重要です。

【パターン別】就労ビザの取得方法

採用する外国人の状況によって、就労ビザの申請内容と手順が大きく異なります。ここでは、代表的な4つのパターンを取り上げて手続きの流れを解説します。

ケース1:海外にいる外国人を新しく採用する場合

海外に住んでいる外国人を新たに雇用し、日本に呼び寄せて働いてもらう場合、まずは採用企業側が日本の出入国在留管理庁に対して在留資格認定証明書の交付を申請します。証明書を取得したあと、外国人が母国の日本大使館・領事館でビザ(査証)を取得するという二段階の手続きが必要です。

1. 企業による雇用契約の締結と必要書類の準備

まずは採用したい外国人との間で雇用契約を締結します。雇用契約書は、日本の入管での申請書類のひとつです。契約締結後、入管に提出する書類を集めます。

企業が用意する書類の例
  • 会社の登記事項証明書(発行から3ヵ月以内)
  • 直近年度の決算報告書(損益計算書、貸借対照表など)
  • 外国人との雇用契約書または採用通知書のコピー
  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(前年分)
  • 事業計画書(特に新規事業や中小企業の場合)
  • 履歴事項全部証明書や会社案内など(企業の概要を説明するもの)
  • 最終学歴の卒業証明書
  • 過去の職務経験を証明する職務経歴書
  • 前職の退職証明書(必要な場合)
  • 日本語能力試験合格証など(該当する場合)
  • パスポートのコピー
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)

企業側は事業の安定性・継続性や、雇用条件を証明する書類を用意しましょう。外国人には、学歴や職歴を証明する書類を手配してもらいます。

業務内容が申請する在留資格の活動に適合していることを証明できる書類をそろえることが重要です。

2. 出入国在留管理庁への在留資格認定証明書交付申請

準備した書類一式を、事業所を管轄する出入国在留管理庁へ提出し、在留資格認定証明書交付申請をおこないます。行政書士などの専門家に手続きを代行してもらうことも可能です。審査期間は、通常1~3ヵ月程度です。

入管では、申請者の経歴が就労ビザの要件を満たしているか、企業が安定して継続できる事業であるか、雇用条件が適切であるかなどを総合的に審査します。

3. 認定証明書の交付と現地での査証申請

審査の結果、無事に在留資格認定証明書が交付されたら、企業から海外の外国人本人へ国際郵便などで原本を送付します。

証明書を受け取った外国人は、自国の日本大使館または総領事館に出向き、証明書とパスポートを提出してビザ(査証)の申請を行います。現地でのビザ発給には通常数日から1週間程度かかります。

ビザが発給されたら、いよいよ日本へ入国です。成田、羽田、関西国際、中部国際、新千歳、福岡などの主要な空港や港湾から入国する場合は、入国審査の際に在留カードが交付されます。

それ以外の場所から入国する場合は、入国審査時に、パスポートに「上陸許可」の証印が押されます。入国後、外国人本人が居住地を定めた日から14日以内に、住所を管轄する市区町村役場に在留カードの交付申請をおこないましょう。

ケース2:すでに日本にいる留学生が就職する場合

日本の大学や専門学校に在学している留学生が、卒業後に日本国内の企業に就職する場合、在留資格を「留学」から就労ビザに変更する手続きが必要です。

1. 卒業見込みと内定の確定、必要書類の準備

留学生が企業から正式な内定を得て、かつ卒業が確定していることが、在留資格変更許可申請の大前提です。まずは留学生と雇用契約を締結し、入管に提出する書類を準備しましょう。

企業が用意する書類の例
  • 直近年度の決算報告書(損益計算書、貸借対照表など)
  • 外国人との雇用契約書または採用通知書のコピー
  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(前年分)
  • 事業計画書(特に新規事業や中小企業の場合)
  • 履歴事項全部証明書や会社案内など(企業の概要を説明するもの)
留学生が用意する書類の例
  • 在留カードおよびパスポートのコピー
  • 在留資格変更許可申請書(留学生本人が記入)
  • 卒業見込証明書(申請時期による)
  • 卒業証明書または学位記のコピー(最終提出時)
  • 成績証明書
  • 過去の職務経験を証明する職務経歴書(該当する場合)
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)

手続き開始の目安は、卒業する年の年明けころからが一般的です。

2. 出入国在留管理庁への変更許可申請

卒業前に、出入国在留管理庁へ在留資格変更許可申請をおこないます。留学生本人または、企業から依頼を受けた行政書士が申請するのが一般的です。

留学生の現在の在留期限(通常は3月下旬)を迎える前に申請を完了させましょう。

審査では、留学生が専攻した内容と、就職先の企業で従事する業務内容との間に関連性があるかどうかが厳しく審査されます。たとえば、情報工学を専攻した留学生がITエンジニアとして働く場合は関連性があると認められやすいです。

「技術・人文知識・国際業務」などの専門性が求められる在留資格では、専攻と全く関連性のない職種への就職では不許可となるリスクが高まります。

3. 許可後の新しい在留カードへの切り替え

審査の結果、変更の許可がおりると、入管から通知が届きます。留学生自身が現在の在留カードとパスポートをもって入管に出向き、新しい在留資格が記載された在留カードを受け取ります。

在留カードの交付をもって正式に就労ビザでの在留が始まり、日本での就労が可能です。

万が一不許可になった場合は、在留期間内に「特定活動」などの形で再申請の準備期間を確保するか、帰国することになります。初回申請は留学生にとって非常に重要です。

ケース3:日本国内の転職で就労ビザの種類が変わる場合

すでに日本で就労ビザをもって働いている外国人が、転職を機に職務内容が大きく変わり、現在の在留資格の種類を変更する必要がある場合の手続きです。

1. 転職後の新しい職務内容とビザの照合

まずは採用企業で従事する新しい職務内容が、現在の在留資格の活動範囲に含まれるかどうかを確認しましょう。現在の在留資格の活動範囲外の場合は、どの在留資格に変更するかの判断も必要です。

適切な在留資格に変更しておかないと、次の在留資格更新の際に不許可となるリスクがあります。判断に迷う場合は、専門家である行政書士に相談することを強くおすすめします。

2. 出入国在留管理庁への変更許可申請

在留資格の変更が必要な場合、外国人本人または行政書士などの代理人が出入国在留管理庁に在留資格変更許可申請をおこないます。現在の在留期間が残っている間に手続きを完了しましょう。

企業が用意する書類の例
  • 会社の登記事項証明書(発行から3ヵ月以内)
  • 直近年度の決算報告書(損益計算書、貸借対照表など)
  • 外国人との雇用契約書または採用通知書のコピー
  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(前年分)
  • 事業計画書(特に新規事業や中小企業の場合)
  • 履歴事項全部証明書や会社案内など(企業の概要を説明するもの)
外国人本人が用意する書類の例
  • 在留カードおよびパスポートのコピー
  • 在留資格変更許可申請書(外国人本人が記入)
  • 最終学歴の卒業証明書(または学位記のコピー)
  • 新しい職務経験を証明する職務経歴書
  • 前職の退職証明書
  • 前職での源泉徴収票(または給与明細書のコピー)
  • 直近の納税証明書・課税証明書(納税義務を果たしているかの証明)
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)

転職の場合、現在の在留状況と前職の状況を証明する書類が重視されます。転職理由が前向きで、キャリアアップにつながるものであることを書類で裏付けましょう。

また、日本に在留中の申請のため、税金の滞納がないかなど、現在の在留状況に問題がないことの確認が必要です。

ケース4:日本国内の転職で就労ビザの種類が変わらない場合

すでに日本で就労ビザをもって働いている外国人が、転職しても職務内容が大きく変わらず、現在の就労ビザの種類を維持できる場合の手続きです。

1. 勤務先変更の届出(14日以内)

在留資格の変更許可申請は必要ありませんが、外国人が新しい会社に入社した日から14日以内に、出入国在留管理庁に対して勤務先変更の届出をオンラインまたは書面でおこなう義務があります。

入管が外国人の在留状況を把握するために必要な手続きです。届出を怠ると在留期間の更新や在留資格変更の際に不利になるリスクがあります。必ず期日内におこないましょう。

2. 就労資格証明書の交付申請

在留資格の種類が変わらない場合でも、外国人本人の居住地または新しい勤務地を管轄する出入国在留管理庁に就労資格証明書の交付申請をおこなうことをおすすめします。外国人本人または企業が依頼した行政書士などが申請できます。

この証明書は、新しい職場での活動内容が、現在保有している就労ビザの活動範囲に適合していることを公的に証明するものです。申請は任意ですが、入管のお墨付きを得ることで不法就労を防ぎ、次回の在留期間更新許可申請の際に審査がスムーズになるメリットがあります。

就労ビザ申請で注意するべきポイントと対策

就労ビザ(在留資格)は申請すれば必ず許可されるものではありません。入管では、申請者の経歴、企業の状況、従事する職務内容などを総合的に判断します。以下では、不許可になるリスクを最小限に抑えるためには、特に注意したいポイントを紹介します。

職務内容と専門性の不一致

就労ビザの審査で厳しくチェックされる点のひとつが、「外国人の専門性と職務内容の関連性があるか」という点です。

専攻分野と異なる職種に就く場合、外国人が業務に関連するスキルをもっていることや、研修を受けたことを証明すると効果的です。たとえば、高度な日本語能力(日本語能力試験N1など)や日本の国家資格を有する場合、業務の専門性を裏付ける補強材料となります。

企業側が専門知識やスキルを補うための研修を計画的に実施することを示す方法もあります。社会人経験のある外国人の場合は、実務経験で要件をクリアできるかも確認しましょう。

企業の安定性・継続性の証明不足

外国人を受け入れる企業には、継続的に安定した給与を支払い雇用し続ける能力が求められます。特に、設立間もない企業や、直近の決算で赤字を計上している企業は、安定性・継続性が不足しているとみなされやすいため対策が必要です。

事業計画書で外国人雇用後の収支見込みを具体的に示し、事業が継続できることを説明します。赤字の場合は、原因と今後の立て直し策を具体的に説明する「理由書」の提出が有効です。

日本人との報酬の不均衡

外国人に支払われる報酬は、同じ企業で同じような業務内容に従事する日本人と同等またはそれ以上でなければなりません。これは、外国人が不当に低い賃金で雇われ、労働条件が悪くなることを防ぐための規定です。

雇用契約書には、具体的な報酬額、手当、昇給制度などを明確に記載します。また、社内の日本人従業員と比較して同等以上の給与水準になっていることを確認しましょう。

新卒などで比較対象がいない場合は、同業他社の水準などを調査し、相場からかけ離れていないことを説明できる資料を準備することが望ましいです。

申請書類の虚偽や矛盾

提出書類の中に、事実と異なる記載がある場合や、申請書と添付書類の間での矛盾がある場合、虚偽申請を疑われるリスクがあります。虚偽申請とみなされると、最悪の場合は退去強制の対象となることもあるため要注意です。

すべての書類は、事実に基づいて正確に記載します。申請前に、提出書類(雇用契約書、履歴書、証明書など)全体をクロスチェックし、矛盾点がないかを徹底的に確認しましょう。

過去の職歴や学歴に空白期間がある場合は、「理由書」を添えて具体的な説明を加えるなど、疑問点が生じないように配慮します。よく見せようとして「盛る」のは御法度です。

不明点や懸念点がある場合は、誤魔化すのではなく、行政書士などの専門家に相談して戦略的に書類を整えましょう。

申請者の在留状況が不良

外国人本人の日本での在留状況も審査の重要なポイントです。オーバーステイ(不法残留)、過去の退去強制歴、犯罪歴、入管への届出義務の不履行、税金や年金の未払いなどの問題がある場合、在留状況が不良とみなされ、ビザはほぼ確実に不許可となります。一度不許可となると、その後の再申請も極めて難しくなります。

内定を出す前に、外国人本人から過去の在留状況について詳細なヒアリングをおこないましょう。企業にとってのリスクが許容範囲を超えると判断される場合は、採用活動を継続するか否かについて、専門家を交えて慎重に検討する必要があります。

届出の遅延や軽微な滞納であれば、早急に問題を解消したうえで、反省文や理由書を添付して申請に臨むことが可能です。速やかに専門家に相談しましょう。

採用後は、従業員の在留カードの有効期限、各種届出の提出状況、健康保険料や税金の支払い状況など、外国人の在留状況を確認することが、企業のコンプライアンスリスクを回避することに直結します。

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専門家に相談するべきケース

就労ビザに関する手続きは提出書類が多く、時間と労力がかかるうえに専門知識が必要です。

行政書士などの専門家のサポートを受けることで、不許可のリスクを減らし、スムーズかつ確実な取得を目指せます。特に、以下のようなケースでは、専門的な知見をもつ行政書士に相談すると安心です。

過去に不許可の経験がある場合

過去に一度でも就労ビザの申請が不許可になったことがある場合、再申請は非常に難しくなります。不許可となった原因を正確に把握し、問題を解消するための具体的な対策を講じなければ、何度申請しても不許可が続く可能性が高いです。

不許可理由の分析をおこなうとともに、どのような証拠書類を追加すべきか、どのような論理構成で申請し直すべきかについて、専門的な視点からアドバイスとサポートを受けるとよいでしょう。

申請者の経歴や企業の状況が複雑な場合

申請者や企業の状況が以下にあてはまる場合、不許可リスクに繋がります。

  • 経歴に長期間の空白期間がある
  • 複数の国での学歴・職歴がある
  • 転職回数が多い
  • 設立間もないベンチャー企業である
  • 直近で赤字を計上している
  • 事業内容が複数の分野にまたがっている

標準的な書類だけでは入管の審査官を納得させることが困難なため、個別の状況に応じた説得力のある理由書や追加資料が求められます。

経験が豊富な行政書士に相談すると、審査の傾向に応じた必要書類や説明方法のアドバイスを受けられるでしょう。

入社日が迫っているなど、スピードと確実性を最優先したい場合

入社日が迫っており、申請期間の遅延が企業の事業計画に大きな影響を与えるようなケースでは、スピードと確実性が重要です。

専門の行政書士に依頼することで、必要な書類を漏れなく迅速に収集・作成し、申請の代行までおこなってもらえるため、費用対効果は高いと言えるでしょう。

また、審査に必要なポイントを把握しているため、外国人や企業が自力で申請する場合に比べて、一度で許可を得られる可能性は格段に高くなります。

まとめ

「就労ビザ」と呼ばれる就労のための在留資格には、さまざまな種類があります。外国人を採用する際は、外国人本人の職歴や学歴と従事する業務内容を踏まえた在留資格が必要です。採用パターンに応じた適切な手続きをおこなうことがスムーズな受け入れの鍵となります。

書類に不備があったり手続きを怠ったりすると、外国人が日本で安定して活動できないだけでなく、企業が不法就労を助長してしまうリスクがあります。

適切な在留資格がわからない場合や、適切に手続きをおこなう自信がない場合は、専門の行政書士へ相談しましょう。

ai行政書士法人では、就労ビザ(在留資格)についての相談を受け付けています。外国人の採用でお悩みの企業の担当者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

編集者

  • ai行政書士法人のWeb編集部です。身近な街の法律家として、みなさまに分かりやすく情報をお届けします。

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