民泊を始める条件は?新法・特区・旅館業法の違いと上乗せ条例の注意点

民泊を始める条件は?新法・特区・旅館業法の違いと上乗せ条例の注意点

民泊の開業を検討している方にとって、候補物件が民泊の条件を満たすのかはもっとも気になるポイントでしょう。民泊は3つの法的枠組みのどれかに基づいて手続きを進める必要があります。それぞれ条件が異なるうえ、自治体ごとに条例でさらに厳しいルールが課されるケースも多いです。

本記事では、民泊を始める方が知っておきたい要件、消防法上の安全基準、自治体ごとのローカルルールまで、実務に即した情報をまとめました。ルールを理解して、手戻りなく開業準備を進めましょう。

この記事の監修者

佐藤 秀樹

ai行政書士法人 代表行政書士。
行政書士として30年以上の経験を持ち、法人設立、相続、建設業許可、在留資格などの分野に精通。
創業からの精神である「誠意」と「情熱」に加え、法人名に込めた「愛(ai)」と「誠実(Integrity)」を胸に、お客様一人ひとりに深く寄り添います。確かな実績と最新の知見で、地域社会とお客様の未来をサポートします。

目次

民泊を始める前に知っておきたい3つの種類

民泊とひと口に言っても、法的には3つの制度があります。それぞれに申請先・営業日数の上限・設備要件が異なるため、まずは自分の物件と目的に合った制度を選ぶことが出発点です。

【基本】住宅宿泊事業法(新法)

2018年に施行された住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)は、一般の住宅を活用した民泊の普及を促すために整備された法律です。新法に則って始める民泊には許可は不要で、届出だけで営業を開始できます。

ただし、年間営業日数の上限が180日と決められているため、フル稼働での事業化には向きません。自治体の条例によっては、営業できる曜日・期間がさらに制限される地域も多くあります。自宅の一部屋を活用したい方や、試験的に民泊を始めたい方に適した制度です。

【エリア限定】特区民泊

国家戦略特別区域法に基づく特区民泊は、東京都大田区など、国が指定した特定のエリアでのみ適用される制度です。全国の特区民泊施設の9割以上を占めた大阪エリアで制度が急速に縮小しており、特区民泊全体としては大幅な規模縮小の局面にあります。

状況自治体
継続中(新規申請可)大田区、千葉市、新潟市、北九州市、泉佐野市、貝塚市、羽曳野市、河内長野市(エリア縮小)
新規停止・実質終了大阪府八尾市・寝屋川市(2025年11月終了)、大阪市・その他大阪府内32市町村(2026年5月29日終了)

特区民泊は都道府県・市区町村への認定申請が必要で、新法の届出よりも手続きが複雑です。年間180日の営業制限がないため、収益性が高い制度として投資家から注目されています。一方、最低宿泊日数は原則として2泊3日以上とされており、1泊だけのゲストを受け入れられないというデメリットがあります。

【本格投資】旅館業法(簡易宿所)

旅館業法に基づく簡易宿所として民泊を営む場合は、ホテルや旅館と同様の許可が必要です。年間の営業日数の制限がなく、大きな収益を得られる可能性がある反面、初期コストや手続きの負担が重くなります。

本格的な不動産投資として取り組む法人・個人や、複数の物件を管理するプロの運営者に向いている形式です。消防や衛生設備の基準も厳しいため、物件の改修費用も初期費用として見込んでおく必要があります。

条件①住宅宿泊事業法(新法)の要件

住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出をおこなうためには、大きく「設備要件」「居住要件」「人的要件」の3つを満たしている必要があります。

設備要件|台所・浴室・便所・洗面設備があること

物件内に、キッチン・浴室・トイレ・洗面設備の4点が全てあることが前提です。マンションの共用トイレや、隣室と共用している浴室は、原則として届出する住宅の設備とは認められません。

シャワーのみでバスタブなしの場合でも、浴室と認められるケースが多いです。ミニキッチン(IH1口・シンクのみ)も同様で、加熱設備とシンクが一体となっていれば台所として認める自治体がほとんどです。

自己チェックの目安として、「ゲストがその場所だけで一定期間生活できるか」という視点で設備を確認してみるとよいでしょう。不安な場合は事前に自治体のルールを確認しましょう。

居住要件|「住宅」として認められること

「住宅」とは、以下の3類型のどれかに該当する家屋です。

  • 現に生活の本拠として使用中の家屋(自分が住んでいる家など)
  • 随時居住の用に供されている家屋(別荘・セカンドハウスなど)
  • 入居者募集中の家屋

2つ目の「随時」とは、年に数回しか使わなくても認められます。ただし、何年も使っておらず管理もしていないような実質的な空き家は認められない可能性が高いです。届出時に、電気・ガス・水道の契約状況、定期的な清掃・管理の実態、今後の居住見込みなどを確認される場合があります。

また、賃貸物件を又貸し(転貸)して民泊にしたい場合は、賃貸借契約の条項に抵触しないか、オーナーの承諾を得ているかを確認されます。オーナーに無断で民泊を始めることはできません。

人的要件|欠格事由に該当しないこと

届出をする方が以下のいずれかに該当する場合、届出は受理されません。法人の場合は、該当する役員が1人でもいれば届出不可です。

  • 旅館業法・住宅宿泊事業法・風営適正化法・暴力団対策法等の違反により、罰金以上の刑に処せられてから5年を経過していない者
  • 過去に住宅宿泊事業・旅館業の廃業命令・許可取消を受けてから5年を経過していない者
  • 成年被後見人・被保佐人に該当する者
  • 暴力団員またはその関係者

過去に無許可で民泊などの営業をおこない、是正勧告や廃業命令を受けたことがある場合は、欠格期間中の届出ができません。

管理委託|「家主不在型」なら管理業者との契約が必須

新法民泊は「家主居住型」と「家主不在型」の2つに分かれます。

家主居住型とは、民泊を運営する住宅と同一の建物内に届出者本人が住む場合です。一戸建ての1階を貸して自分は2階に住む、マンションの隣室を貸すといったケースが該当します。この場合は届出者本人が管理業務を担うことができ、管理業者への委託は義務ではありません。

家主不在型とは、自分が住んでいない遠方の物件を貸す場合や、同じ敷地内の別棟に住んでいる場合など、家主居住型とは認められないケースです。国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者に管理業務を委託することが法律で義務付けられています。

届出時には管理受託契約を締結している必要があります。つまり、先に管理業者を見つけて契約してから届出に臨むという順番になるため、家主不在型の場合は業者選定も早めにおこないましょう。

管理業務の委託費用は売上の15〜25%程度が相場です。業者によって対応範囲(清掃・リネン交換・チェックイン対応・苦情対応の有無など)が大きく異なります。費用だけでなく、深夜のトラブルに即時対応できる体制があるかも必ず確認しましょう。

もっともハードルが低いとされる新法民泊にも、これだけの基本条件があります。気軽に始めようと思ったのに、難しそう……と感じた方は、ぜひai行政書士法人にお問い合わせください。初回相談は無料ですので、まずはあなたの物件で民泊が始められるのか確認しましょう。

条件②消防法が求める設備基準

新法民泊(住宅宿泊事業法)は住宅のまま営業できますが、旅館業法の簡易宿所はホテル・旅館と同じ「宿泊施設」扱いになります。建物の延べ床面積・階数・構造・収容人数などの物件の条件によって、求められる消防設備が異なるため、事前に消防署に確認するとよいでしょう。

項目新法民泊(一般住宅・マンション1室)新法民泊(一棟貸し・大規模)旅館業法(簡易宿所)備考
消防法上の用途住宅住宅旅館・ホテル等
自動火災報知設備家主不在型では原則必要原則必要原則必要部屋が小さくても建物全体が大きければ設置義務あり
誘導灯・非常用照明収容人数・面積が小さければ原則不要収容人数が多い・廊下や階段が複雑な場合は必要原則必要一棟貸しで大人数を収容する場合は要注意
防炎物品(カーテン等)高さ31m超の高層建築物・地下街では義務。それ以外は条例次第同左同左カーテン・じゅうたん・布製ブラインドなど
消防署への事前相談推奨強く推奨必須

自動火災報知設備の設置

自動火災報知設備はビルやマンションについているような、すべての部屋の感知器が連動して受信機が鳴る本格的なシステムです。後付けで工事が必要になる場合、費用は十数万円〜数十万円規模になることもあります。

民泊には原則として自動火災報知設備が必要です。新法民泊の家主同居型で、建物の延床面積が50㎡以下の場合は、一般的な住宅用火災警報器(電池式で単体で鳴るもの)でも認められるケースがあります。

自分の物件に設置義務があるかどうかは、物件の情報(所在地・構造・延べ床面積・階数)がわかる資料を持参して、管轄の消防署に事前相談するのが最も確実です。消防署への相談は無料でおこなえます。

非常用照明・誘導灯・防炎物品

一般的な1室・数名規模の民泊では、非常用照明や誘導灯は設置不要なケースが大半です。一軒家まるごと貸し出す「一棟貸し」で収容人数が多い場合や、廊下・階段が複雑な構造の場合は義務が生じる可能性があります。旅館業法(簡易宿所)の場合は原則として設置義務があります。

防炎物品については、高層建築物や地下街では使用が義務付けられており、それ以外の建物でも条例によって求められる場合があります。具体的にはカーテン・じゅうたん・布製ブラインドなどが対象です。防炎認定品はホームセンターや専門店でも取り扱いがあり、価格差もさほど大きくないため、最初から防炎品でそろえることをおすすめします。

消防署への事前相談の重要性

消防設備は、用途・面積・階数・構造・収容人数の組み合わせで決まります。自己判断はリスクが高いため、管轄の消防署に相談に行くのがおすすめです。旅館業法の許可を取得する場合は、相談は必須です。

物件の図面(間取り図)と登記事項証明書または建築確認済証を持参すると話がスムーズに進みます。届出の2〜3ヵ月前には相談に行くと、追加工事が発生した場合もスケジュールの遅れが生じにくいでしょう。消防署への相談は無料でおこなえます。

条件③自治体ごとの上乗せ条例

民泊の基本ルールは法律ですが、自治体ごとに条例でルールを上乗せできます。物件がある自治体のルールを必ず確認しましょう。ここでは、よくある上乗せ条例の例を紹介します。

平日営業の禁止

住居専用地域に物件がある場合、月曜正午〜金曜正午は営業禁止とする自治体が多いです。実質的な営業可能日は土日祝のみとなり、年間の最大営業日数は100日程度になります。自分の物件がどの用途地域に属しているかは、市区町村の都市計画図などで確認できます。

住居専用地域以外(商業地域・準住居地域など)は平日営業が認められることが多いですが、例外もあるため確認は必須です。物件を購入・契約する前に用途地域と条例を調べましょう。

周辺住民への事前周知義務

開業届出の前に、物件周辺の住民・管理組合などへの事前説明を義務付ける自治体があります。

対象範囲については「隣接する住戸・土地の所有者」「半径◯メートル以内の居住者全員」など自治体によりさまざまです。周知方法も、書面の投函のみで足りる場合もあれば、説明会の開催、相手方のサインの保管まで求める場合もあります

マンションの1室を民泊にする場合は、管理組合の規約で民泊が禁止されていないかも確認しましょう。マンション全体の規約で禁止されている場合は、あなたが所有する部屋であっても民泊を営業できません。

ゴミは事業系廃棄物として処理する

宿泊者が出したゴミは「事業系廃棄物」に分類され、自治体の家庭用ゴミ収集ステーションには出せない場合があります。対応方法は自治体によって異なりますが、主に以下の2パターンです。

  • 自治体の清掃事務所に有料の事業系ゴミ収集を申し込む(1回あたり数百円〜の料金が発生)
  • 許可を受けた民間の廃棄物収集業者と契約する

家主不在型で管理業者に委託している場合は、ゴミ処理も含めて任せられるケースが多いです。家主居住型で自分で管理する場合は、開業前に管轄の清掃事務所に相談して対応方法を確認しておいてください。

苦情等へ迅速かつ適切に対応する義務

事業者には苦情・相談に対して速やかに対応する義務があります。口頭のやり取りだけでなく、「いつ苦情を受けたか」「どのような対応をしたか」「いつ解決したか」の記録を文書として残す習慣をつけましょう。

家主不在型で管理業者に委託している場合も、苦情対応の結果は事業者に報告される体制になっているかを契約時に確認してください。「管理業者が対応したから自分は知らない」は通用しません。

対面チェックインによる本人確認

旅館業法の許可を受けた施設では以前から本人確認が義務ですが、新法民泊においても、一部自治体では対面でのチェックインと本人確認を義務付けています。管理業者に委託する場合は、深夜・早朝のチェックインに対応できるかを確認しましょう。

また、外国人ゲストを受け入れる場合、旅館業法では旅券(パスポート)の確認・記録が義務となっています。新法の民泊においても条例で同様の義務を課す自治体が増えているため、記録方法や保管期間についても確認が必要です。

特区・旅館業はここが違う!追加の条件

新法民泊に比べて、特区民泊や旅館業(簡易宿所)の場合は厳しい条件があります。ここでは、代表的な追加条件を確認しましょう。

【特区民泊】25㎡以上の床面積が必要

特区民泊の認定要件として、1居室あたりの床面積が25㎡以上であることが定められています。居室とは、玄関・廊下・浴室・トイレなどを除いた居住のために使用する部屋の合計です。

ワンルームマンションで多い18〜20㎡の間取りは、この要件を満たしません。一方、1LDK以上の間取りであれば25㎡を超えるケースがほとんどです。中古マンションを購入して特区民泊に転用する場合は、登記簿上の専有面積ではなく居室面積を確認しましょう。専有面積が30㎡でも、居室部分が20㎡しかない間取りは要件を満たさない可能性があります。

【旅館業法】住宅をホテル・旅館にするには建築基準法上の用途変更が必要

住居用途で建てられた建物を旅館業法の簡易宿所として使用するには、建築基準法に基づく用途変更をおこないます。

用途を変更する部分の床面積が200㎡を超える場合は、確認申請が必要です。200㎡以下の場合は確認申請は不要ですが、旅館業として使用するための建築基準法上の基準(採光・換気・トイレの数・廊幅など)は満たす必要があります。

許可申請の段階で、用途変更が完了している状態にします。用途変更の手続きは建築士への依頼が必要で、審査期間も含めると数ヵ月かかる場合があるため、スケジュールを逆算して準備を進めましょう。

条例でさらに厳しい条件が課される場合も

特区民泊では、区や市町村の条例でさらに条件が加わることがあります。旅館業(簡易宿所)についても、保健所ごとに実務運用が異なるケースがあります。隣の市では通った仕様が自分の物件所在地では通らない、ということも起こり得るのです。

ローカルルールの違いに確実に対応するためには、物件所在地の保健所や自治体窓口へ直接確認するか、当該エリアでの申請実績がある行政書士へ相談するとよいでしょう。

ai行政書士法人では、民泊の開業を検討している方からの相談を受け付けています。手続きの代行だけでなく、開業準備段階での「民泊の条件は?」「いつ何を準備したらいい?」といった疑問にもお答えします。LINEやお電話での相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

民泊を始められるか行政書士に診断してもらうのがおすすめ

民泊開業に必要な法的手続きは、住宅宿泊事業法・旅館業法・消防法・建築基準法・自治体条例など複数の法令にまたがっています。それぞれの担当窓口も異なるため、個人で全て把握・対応しようとすると膨大な時間と手間がかかります。複雑な手続きを効率的かつ確実に進めるには、行政書士に相談するのがおすすめです。

地域ごとの最新ルールに対応できる

行政書士は、各自治体の条例改正や運用変更といった最新情報を継続的に把握しています。「この物件は今の条例では平日営業ができない」「このエリアは特区民泊の対象外」といった判断を、物件の情報をもとに早期におこなうことができます。自力で調べると、各担当窓口に問い合わせるだけで数日かかることもありますが、行政書士なら経験値から迅速に整理できます。

正しい手順でスムーズに開業できる

届出や申請に必要な書類の作成・収集から、消防署への事前相談の同席、自治体窓口への提出まで、一連の手続きを代行してもらえます。書類の不備を指摘されて再提出する手間もなくなるため、開業までのスケジュールを短縮できます。

また、物件選定や制度選択の段階で相談することで、「条例が厳しくて思っていた通りに営業できない」「設備要件を満たすために改修工事が必要になった」など、条件の見落としによるリスクを回避できます。

開業後の運営も安心

開業後も、毎年の定期報告・営業状況の変更届・条例改正への対応など、継続的な手続きが発生します。開業時から関係を築いた行政書士がいれば、「条例の改正があったが自分に影響はあるか」「施設を増やしたい」といった相談を気軽にできる体制が整います。

民泊を始めるならai行政書士法人に相談を

民泊の条件は、利用する制度によって大きく異なります。住宅宿泊事業法(民泊新法)・旅館業法など、それぞれに要件が異なるため、多岐にわたる条件を自分で整理しながらスピーディーに準備を進めるのは、決して簡単ではありません。

だからこそ、初期段階で行政書士に相談することをおすすめします。「そもそも自分の物件で民泊ができるか」「どの制度を選ぶべきか」「何から準備すればいいか」といった疑問を早めに整理しておくことで、予算やスケジュールの見通しが立てやすくなります。手戻りなくスムーズに開業を進めるためにも、専門家のサポートは心強い存在です。

札幌を拠点とするai行政書士法人は、代表行政書士が30年以上の実務経験を持つ事務所です。民泊の届出・許可申請はもちろん、訪日外国人の受け入れに関する実践的なノウハウも備えており、あなたの民泊開業をサポートします。

初回1時間の無料相談を実施していますので、物件の状況やご希望の運営スタイルに合わせて丁寧にご案内します。まずはお気軽にお問い合わせください。

編集者

  • ai行政書士法人のWeb編集部です。身近な街の法律家として、みなさまに分かりやすく情報をお届けします。

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