特定技能の職種19分野の一覧と2027年の動向を解説

特定技能の職種19分野の一覧と2027年の動向を解説

「特定技能で外国人材を採用したいが、自社の業種が対象になるのかわからない」——そんな悩みを抱えていませんか?

特定技能の対象分野は、2026年1月の閣議決定で16分野から19分野に拡大しました。ただし2026年8月現在、実際に受け入れられるのは既存16分野のみで、新たに加わった3分野は2027年頃の受入開始見込みです。分野の名前だけでは、自社の業務がどこに当てはまるか判断しにくいという声も多く聞かれます。

そこで本記事では、分野ごとの業務内容、自社が対象かどうかを見極めるポイントまで、わかりやすく解説します。

目次

特定技能の職種とは?基本をおさらい

「特定技能」は、外国人が日本で働くための在留資格のひとつです。人手不足が深刻な特定の産業分野で、一定の知識や技能を持つ外国人を受け入れるために2019年4月に新設されました。単純作業を含む幅広い業務に外国人材を従事させられる点が大きな特徴です。

特定技能1号と2号の違い(対象分野・在留期間)

特定技能には1号と2号の2種類があります。主な違いは以下の表のとおりです。

特定技能1号特定技能2号
技能レベル相当程度の知識・経験熟練した技能
在留期間通算5年まで更新すれば上限なし
家族帯同原則不可可能
対象分野ほぼ全分野一部の分野のみ

1号より2号の方が高度な技能を求められます。まずは1号でスタートし、2号にステップアップすることで長期就労・定着を目指すことも可能です。

参考:出入国在留管理庁「特定技能制度」

技能実習との対象職種の違い

技能実習は開発途上国への技術移転を目的としている一方、特定技能は労働力の確保を目的としています。技能実習は「職種・作業」という細かい単位で区分されているのに対し、特定技能は「分野」という単位の区分です。2つの制度を接続するしくみもあり、技能実習2号を良好に修了した人は、特定技能1号への移行時に技能試験・日本語試験が免除されます。同じ分野であれば、技能実習で培った技能をそのまま特定技能でのキャリアに活かせるのです。

なお、技能実習制度は2027年4月に廃止され「育成就労制度」へ切り替わります。育成就労制度の対象分野は基本的に特定技能の特定産業分野に限定される方針のため、両制度の対象職種が今後はより近づいていく見通しです。育成就労を修了した人材の特定技能への移行についても、技能実習2号修了時と同様の移行ルートが用意される予定です。

特定技能の職種一覧|全19分野の早見表

2026年1月23日の閣議決定により、特定技能で受け入れ可能な特定産業分野は、それまでの16分野から19分野に拡大しました。

特定技能19分野早見表

特定技能の19分野は以下の表のとおりです。表内の「特定技能2号」欄が「対象外」となっている分野は、2号への移行ルートがなく、特定技能1号(通算5年上限、家族帯同不可)のみで受け入れることになります。

分野特定技能2号
ビルクリーニング対象
工業製品製造業対象
建設対象
造船・舶用工業対象
自動車整備対象
航空対象
宿泊対象
農業対象
漁業対象
飲食料品製造業対象
外食業対象
介護対象外
自動車運送業対象外
鉄道対象外
林業対象外
木材産業対象外
リネンサプライ今後決定
物流倉庫今後決定
資源循環今後決定

※2026年1月23日の閣議決定で追加が決定した3分野です。省令等の整備を経て、受け入れ開始は2027年頃の見込みとされています(2026年8月時点では、実際の申請はまだできません)。

介護、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が特定技能2号の対象外になっているのには、大きく2つの理由があります。介護の場合、特定技能とは別に「介護」という専門の在留資格がすでにあり、介護福祉士の資格を取れば無期限で働き続けられる道が用意されているため、特定技能2号に介護の区分を作る必要がないという考え方です。

自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は2024年に1号として新しく加わった分野で、単純に2号の試験や運用ルールの整備がまだ追いついていないのが実情です。今後、制度が整えば2号の対象になる可能性はあります。2026年に新設が決まった「リネンサプライ・物流倉庫・資源循環」の3分野も同様に、まずは1号としての受け入れ準備が優先されており、2号については現時点で未定です。

参考:出入国在留管理庁「特定技能制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針・運用要領」

【2027年追加】物流倉庫管理・リネンサプライ・資源循環

物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野は、制度上は特定技能の対象分野として正式に確定しています。ただし、分野ごとの技能評価試験や分野別運用要領の整備はこれから進む段階にあり、実際に外国人材を受け入れられるようになるのは2027年ころの見込みです。既存の16分野とは違い、対象分野になったから今すぐ採用できるわけではない点に注意しましょう。

リネンサプライ分野は、ホテルや病院などのリネン類(シーツ・タオル等)の入荷・仕分け、洗濯機や乾燥機の操作、プレス・たたみなどの仕上げ、検品、結束、出荷準備をさせられます。ただし、資材運搬や清掃だけを専任で担当させることは不可です。

物流倉庫分野は、入荷、検品、仕分け、ピッキング、梱包、出荷、在庫管理、荷役補助が可能です。トラック運転による配送業務は「自動車運送業」の資格が必要なため含まれません。

資源循環分野は、廃棄物の分別などの中間処理業務です。収集運搬(トラックでの運搬)や最終処分(埋立・焼却)には従事できません。受け入れを検討する場合は、今のうちから情報収集をおこない、分野別運用要領や技能評価試験の実施方法が公表されたら必ず確認しましょう。

分野別の職種・業務内容を詳しく解説

ここからは、既存16分野を業種の近いグループに分けて、主な業務内容を紹介します。分野名だけでは業務内容が想像しにくいものも多いため、具体的な仕事のイメージとあわせて確認しましょう。

介護・ビルクリーニング・宿泊

介護分野
身体介護(入浴・食事・排せつの介助など)と、それに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助など)です。2025年4月からは、一定の条件のもとで訪問介護系のサービスへの従事も可能になりました。
ただし、支援業務だけに専従させることはできません。支援業務はあくまで身体介護に付随する業務という位置づけであり、主たる業務とはいえないためです。

ビルクリーニング分野
建築物内部の清掃業務全般に従事させられます。外壁の窓ガラス清掃など、高所作業を伴う危険な清掃作業は対象外です。労働災害リスクの高い作業はあらかじめ業務範囲から除外されています。

宿泊分野
フロント業務、企画・広報、接客、レストランサービス(配膳・接客等)が含まれます。レストランサービスは仕込みや盛り付けの補助程度にとどまり、調理をメインでおこなわせることはできません。宿泊分野の運用要領で、調理は外食業分野が担う業務として明確に区分されているためです。また、接待・風俗営業関連施設での就労はできません。

農業・漁業・飲食料品製造業・外食業

農業分野
耕種農業全般(栽培管理、農産物の収穫・集出荷・選別など)、または畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別など)です。特定技能評価試験は耕種農業・畜産農業で別区分となっており、耕種農業の試験に合格した人材が畜産農業の業務に従事することはできず、その逆も同様です。

漁業分野
漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索など)、または養殖業(養殖資材の設置・保守など)です。農業分野と同じように、漁業区分と養殖業区分の兼務はできません。

飲食料品製造業分野
酒類を除く飲食料品の製造・加工全般に従事できます。特定産業分野として指定されているのは「酒類を除く飲食料品製造業」であり、酒造業はそもそも対象分野に含まれていません。

外食業分野
調理業務と接客業務のどちらも担当できます。ただし、宿泊分野と同様、風俗営業関連施設での就労は認められません。

工業製品製造業・造船舶用工業・自動車整備

工業製品製造業分野
機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理など、合格した試験区分に対応する業務に従事します。区分ごとに技能水準が担保されており、合格した区分以外の業務への従事はできません。

造船・舶用工業分野
造船区分、舶用機械区分、舶用電気電子機器区分のいずれかに対応する業務に従事します。工業製品製造業と同じように、合格した区分以外の業務はできません。

自動車整備分野
日常点検整備、定期点検整備、分解整備(重要保安部品を含む)です。関連業務として洗車や部品運搬も担当できます。関連業務(洗車、部品運搬など)だけに専従させることはできません。関連業務は主たる業務(整備業務)に従事する比率を上回ってはならないというルールがあるためです。

参考:国土交通省「自動車整備分野における『特定技能』の受入れ」

建設

土木区分・建築区分・ライフライン設備区分のいずれかに対応する業務に従事できます。区分をまたぐ業務への従事はできません。建設分野で受け入れる際は、建設キャリアアップシステム(CCUS)への技能者登録が必要になるケースがあります。許可要件と受け入れ要件をそれぞれ確認しておきましょう。

航空・自動車運送業・鉄道

航空分野
空港グランドハンドリング区分、または航空機整備区分に対応する業務に従事できます。区分をまたぐ業務はできません。

自動車運送業分野
トラック・バス・タクシーの運転業務です。道路運送法により、バスやタクシーといった旅客運送を行う運転者には、在留資格とは別に第二種運転免許の取得が義務付けられています。

鉄道分野
軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員のいずれかの区分に対応する業務に従事できます。こちらも区分をまたぐ業務はできません。

林業・木材産業

林業分野
伐木、造林などの現場作業に従事できます。

木材産業分野
製材、加工、集成材製造などの工程です。林業と木材産業は別の試験区分のため、両分野の兼務はできません。

参考:出入国在留管理庁「特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)」

自社の業種は対象になる?職種の該当判断のポイント

19分野の一覧を確認しても、自社の業務はどこに当てはまるのかがすぐに判断できないケースもあるでしょう。分野名や業種名だけで判断せず、以下の3つのステップで確認することをおすすめします。

  1. 自社が従事させたい作業の内容を具体的に書き出す(工程・現場・扱う対象物)
  2. 出入国在留管理庁が公表する仕事内容(Job Description)分野別運用方針・運用要領と照合する
  3. 1つの業務が複数分野・複数区分にまたがっていないか確認する

ここでは、実際に判断に迷いやすい具体例を挙げながら、確認の進め方を紹介します。

判断に迷いやすい業種の具体例

たとえば解体工事を営む会社の場合、「解体」というキーワードだけでは特定技能の分野が特定できません。建設分野は業務区分が19区分から「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に再編されており、解体工事は解体する対象物によって区分が変わります。

建築物本体の解体であれば建築区分、道路や橋りょうなど土木施設の解体であれば土木区分、ガス管・水道管・電気設備などライフライン設備の撤去であればライフライン・設備区分です。実際の業務内容を分野別運用方針の記載と照らし合わせて確認する必要があります。なお、区分さえ正しく選べば、その区分内であれば土木施設なら新設から維持・修繕まで幅広い作業に従事させられます。

また、複数の製造工程を持つ製造業では、ひとつの事業所の中で工業製品製造業分野に該当する工程と、飲食料品製造業分野に該当する工程が混在することがあります。この場合、外国人材ごとに従事させる業務を明確に切り分け、対応する分野の試験に合格した人材を、その区分の業務にのみ従事させる必要があります。事業所単位ではなく、業務単位で分野を判断する視点が重要です。

対象外だった場合の代替手段

自社の業務内容を確認した結果、19分野のいずれにも該当しない場合もあります。その場合は、特定技能以外の在留資格も検討しましょう。専門知識を活用する業務であれば「技術・人文知識・国際業務」、日本人の配偶者等であれば身分系の在留資格など、業務内容や雇用したい人材の状況によって選択肢は異なります。

なお、外国人材の受け入れ制度としては技能実習制度もありますが、2027年4月に廃止され「育成就労制度」へ切り替わることが決まっています。育成就労制度の対象分野は基本的に特定技能の特定産業分野に限定される方針です。今は技能実習で対応できる業務でも、数年後には受け皿がなくなる可能性が高いため、新たに技能実習を選ぶことは積極的にはおすすめできません。

特定技能が難しくても諦めず、ほかの在留資格も含めて広く選択肢を洗い出すことが、採用計画の幅を広げます。

判断に迷ったら専門家へ相談しよう

業務区分を誤って受け入れると、指定書で定められた範囲外の業務に従事させることになり、不法就労助長のリスクにつながります。判断に自信が持てない場合は、無理に自己判断せず、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

とくに試験区分ごとの厳密な線引きがある分野は、自己判断だけでは見落としが生じやすいです。分野の該当判断は、行政書士など在留資格申請の実務に詳しい専門家に相談することで、受け入れ後のトラブルを未然に防げます。

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ai行政書士法人では、特定技能の分野該当判断から、在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請の代行、受け入れ後の届出まで、一貫してサポートしています。業務区分がとくに複雑な建設分野についても、実務に即したアドバイスが可能です。

また、技能実習の監理団体運営に携わってきた経験から、2027年に施行される育成就労制度への移行相談にも対応しています。他士業との連携体制により、労務管理や社会保険の手続きまで、外国人材の受け入れにまつわる手続きを窓口ひとつでまとめてご相談いただけます。自社の業種が特定技能の対象になるか判断がつかない、複数分野にまたがる業務があって整理したい、といった段階からでもお気軽にご相談ください。

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まとめ

特定技能の対象分野は、2026年1月の閣議決定で16分野から19分野に拡大しました。ただし新たに加わった3分野(物流倉庫・リネンサプライ・資源循環)は、受け入れ開始が2027年ころの見込みとなっており、今すぐ受け入れを検討できるのは既存16分野です。

分野名だけでは自社が対象かどうか判断しにくいケースも多く、自社の業務内容が複数分野や複数区分にまたがる場合は、とくに慎重な確認が必要です。19分野のいずれにも該当しない場合も、特定技能以外の在留資格など検討できる選択肢はほかにもあります。判断に迷ったときは、抱え込まずに専門家へ相談することが、後の手続きをスムーズに進める近道です。

よくある質問

職種(分野)の変更は可能ですか?

はい、できます。ただし変更先の分野に対応する技能試験に合格していることが前提です。分野を変更する場合は「在留資格変更許可申請」をおこないます。試験に合格していない状態で異なる分野の業務に従事させると、指定書で定められた範囲外の業務となり、不法就労助長のリスクにつながるため注意しましょう。

参考:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」

特定技能外国人に単純作業をさせても違法になりませんか?

特定技能では、対象分野の主たる業務に付随する範囲であれば、単純作業を含む幅広い業務に従事させることが認められています。ただし「単純作業のみ」をおこなわせることは認められていません。特定技能は「一定の技能を要する業務」を対象とした制度であるためです。「単純作業」と呼ばれる業務が、メインの業務に必要な関連業務であり、メインの業務を超えない範囲でおこなわれるかが判断のポイントです。

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編集者

  • ai行政書士法人のWeb編集部です。身近な街の法律家として、みなさまに分かりやすく情報をお届けします。

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