日本語検定のレベルとは?JLPT(N1〜N5)との違いと外国人採用で見るべき基準

応募者の履歴書に「日本語検定1級」とあって、日本語能力試験とどう違うのか迷う採用担当者の方もいるのではないでしょうか。N2やN3といった数字を見ても、どの仕事まで任せられるのか、見当がつかないこともあります。
日本語検定と日本語能力試験JLPTは、名前が似ていますが、別の試験です。日本語検定は日本語を正しく使う力を測る検定で、JLPTは日本語を母語としない人の理解力を測る試験です。
さらに、在留資格によっては日本語の要件が定められていて、技術・人文知識・国際業務では2026年4月から、特定技能2号では2027年4月から、日本語能力の確認が加わります。試験の違いとレベルの見方を知っておくと、応募者の日本語力を同じ基準で比べられます。
この記事では、以下の内容を解説します。
- 日本語検定とJLPTの違い
- JLPTのN1からN5と、日本語検定の1級から7級のレベルの目安
- 仕事内容別に見る、求めるJLPTレベルの目安
- 在留資格ごとの日本語レベルの要件
- 応募者の日本語力を確かめる方法と、採用後の支援
外国人の採用を検討している企業の採用担当者の方に、日本語力を判断するときの考え方をお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。
日本語検定とJLPTの4つの違い
日本語検定と日本語能力試験JLPTは、名前が似ていても、対象者や測る力が違います。違いは、次の4つです。
| 違い | JLPT | 日本語検定 |
|---|---|---|
| 対象者 | 日本語を母語としない人 | 日本語を使うすべての人 |
| 測る力 | 言語知識・読解・聴解 | 敬語や漢字など6領域 |
| レベルの表し方 | N1〜N5の5段階 | 1級〜7級の7段階 |
| 実施する地域と回数 | 日本と海外で年2回 | 全国の会場で年2回 |
以下、それぞれの違いが採用の判断にどう影響するかを見ていきます。
対象者
JLPTは、原則として日本語を母語としない人が対象です。日本国籍があるかどうかは関係なく、母語が日本語でなければ、年齢を問わず受験できます。一方で日本語検定は、小学生から社会人まで、日本語を使うすべての人のための検定です。級が小学校の学年から社会人のレベルまでで示されていて、日本語を母語とする人の成長段階に合わせた作りになっています。
外国人の応募者の日本語力を見るときは、日本語検定の級ではなく、JLPTの結果を手がかりにします。履歴書に日本語検定の級が書かれていたら、その人が日本語を正しく使う力を持つことの証明として受け取り、JLPTの結果は別に確認しましょう。
測る力
JLPTは、文字・語彙・文法の知識と、その知識を使って課題をこなす力を測ります。科目は言語知識、読解、聴解の3つで、話す試験と書く試験はありません。日本語検定は、敬語、文法、語彙、言葉の意味、表記、漢字の6領域から、日本語を正しく使う力を測る検定です。
日本語検定は、敬語の使い分けや漢字の読み書きといった、日本語を正しく使う力を問います。同じ日本語力でも、見ている中身が違うため、点数や級の高さを横に並べて比べることはできません。
レベルの表し方
JLPTはN1からN5の5段階で、N1がもっとも難しく、N5がもっともやさしいレベルです。受験者は、自分に合ったレベルをひとつ選んで受験し、合格すればそのレベルの認定を受けます。合格するには、総合得点が合格点に届くだけでなく、言語知識、読解、聴解のどの区分も基準点以上であることが条件です。
日本語検定は、7級から1級までの7段階で、各級に認定と準認定があります。1級は総合得点率80%程度以上で認定、70%程度以上で準認定です。2級から7級は、70%程度以上で認定、60%程度以上で準認定になります。JLPTは合否とレベルで示し、日本語検定は級と得点率で示すため、成績書類の読み方が違います。
実施する地域と回数
JLPTは、日本国内と海外で実施され、7月と12月の年2回です。2026年は7月5日と12月6日に実施されます。海外では、7月だけ、または12月だけ実施する都市もあります。日本語検定も、全国の会場で年2回実施されていて、2026年11月の検定日は11月7日です。
応募者がいつの試験の結果を持っているかは、採用の時期から逆算して確認しましょう。
JLPTの5つのレベルでできること
JLPTの認定の目安は、読む力と聞く力で表されています。5つのレベルでできることは、次のとおりです。
- N1:幅広い場面の日本語を理解できる
- N2:日常に加えて仕事の場面の日本語もある程度理解できる
- N3:日常的な場面の日本語をある程度理解できる
- N4:基本的な日本語を理解できる
- N5:基本的な日本語をある程度理解できる
以下、各レベルを職場の場面に置きかえて説明します。
参考:日本語能力試験JLPT「N1〜N5:認定の目安」
N1:幅広い場面の日本語を理解できる
N1は、幅広い場面で使われる日本語を理解できるレベルです。認定の目安では、新聞の論説や評論のように論理がやや複雑で、抽象度の高い文章を読んで構成や内容をつかめること、自然なスピードのニュースや講義を聞いて、話の流れや要旨を理解できることが挙げられています。
仕事に置きかえると、取引先への提案資料を読み込んだり、会議の議論を追ったりできる理解力です。N1は、5つのレベルのなかで、読む力と聞く力がもっとも高いことを示します。ただし、話す力と書く力は試験の対象外なので、通訳や管理職を任せるときは別に確かめましょう。
N2:日常に加えて仕事の場面の日本語もある程度理解できる
N2は、日常的な場面の日本語に加えて、より幅広い場面の日本語をある程度理解できるレベルです。新聞や雑誌の記事、解説、平易な評論のように論旨が明快な文章を読めて、自然に近いスピードの会話やニュースの要旨をつかめます。
職場では、業務マニュアルや社内メールを読み、会議や電話の内容を聞き取れる力にあたります。事務職や接客職の採用では、このN2が目安にしやすいレベルです。N1ほどの高い理解力までは求めずに、日常の業務をこなせる人材を探すときに、候補の中心になります。
N3:日常的な場面の日本語をある程度理解できる
N3は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるレベルです。日常的な話題の具体的な文章を読めること、新聞の見出しから情報の概要をつかめること、やや自然に近いスピードの会話を聞いて、具体的な内容をほぼ理解できることが目安です。N2とN4の間のレベルとして、2010年に新しく設けられました。
職場の指示は、やさしい言葉に言いかえれば伝わる段階です。日常の会話は成り立ちますが、業務の細かい説明や抽象的な話は、言いかえや確認が要ります。指示を出す側が、短い文で、具体的に話す工夫をすると、N3の人も力を発揮しやすくなります。
N4:基本的な日本語を理解できる
N4は、基本的な日本語を理解できるレベルです。基本的な語彙や漢字で書かれた、身近な話題の文章を読めて、ややゆっくり話される日常の会話であれば、内容をほぼ理解できます。教室で学ぶ基本的な日本語がどれくらい身についているかを測るレベルで、CEFRではA2にあたります。
職場では、決まった手順の指示や、名前、時間、場所といった情報の聞き取りが中心の場面です。N4は、特定技能1号の日本語要件にあたる水準です。書類やメールのやりとりが多い仕事には、まだ負担が大きいレベルといえます。
N5:基本的な日本語をある程度理解できる
N5は、基本的な日本語をある程度理解できるレベルです。ひらがなやカタカナ、日常生活で使う基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文を読めて、教室や身の回りで、ゆっくり話される短い会話から必要な情報を聞き取れます。CEFRではA1にあたります。
仕事の日本語としては入口の段階で、現場の指示は、実演や写真を添えて伝えることが前提になります。育成就労では、就労を始める前の要件として、N5などA1相当の試験が挙げられています。N5の人を採用するなら、入社後の学習支援を、採用の計画にあらかじめ入れておきましょう。
日本語検定1級〜7級のレベルの目安
日本語検定は、日本語を正しく使う力を、7級から1級までの7段階で測る検定です。級の目安は、小学校の学年から社会人までのレベルで示されています。
| 受検級 | レベルの目安 |
|---|---|
| 7級 | 小学校2年生 |
| 6級 | 小学校4年生 |
| 5級 | 小学校卒業 |
| 4級 | 中学校卒業 |
| 3級 | 高校卒業〜社会人基礎 |
| 2級 | 大学卒業〜社会人中級 |
| 1級 | 社会人上級 |
3級は大学での研究活動やビジネスに必須の日本語力、2級は教養と社会的な信用を高めるための日本語力、1級は高度な日本語を扱う職務にふさわしい日本語力が基準です。出題は、敬語、文法、語彙、言葉の意味、表記、漢字の6領域です。
日本語検定委員会は、日本語を母語としない人を対象としたJLPTとは別の検定だと明記しています。外国人の応募者の日本語力を比べる基準にはならないため、日本語検定の級は、日本語を母語とする応募者の文書作成力を見るときの手がかりとして使いましょう。
参考:日本語検定委員会「受検概要・申込」
JLPTと日本語検定のレベルを比べるときの考え方
JLPTと日本語検定は、レベルの数え方も測る力も違うので、数字や級を並べても意味がありません。比べるときの考え方は、次の3つです。
- JLPTのレベルは学年に置き換えられない
- 日本語検定の級をJLPTのレベルに読み替えることはできない
- 国際的な目安はCEFRとの対応で確かめる
それぞれの理由を、順に説明します。
JLPTのレベルは学年に置き換えられない
日本語検定は、7級が小学校2年生、4級が中学校卒業というように、級を学年に合わせて示しています。JLPTには、こうした学年の対応がありません。JLPTは日本語を母語としない人の習得段階を測る試験で、N4とN5は教室で学ぶ基本的な日本語、N1とN2は実際の生活の幅広い場面の日本語の理解が測定の対象です。
そのため、N2を高校2年生の日本語力、N1を大学生の日本語力のように置きかえるのは誤りです。母語として育つ過程の日本語力と、外国語として身につけた日本語力は、成り立ちが違います。社内で説明するときは、学年ではなく、仕事で何ができるかを軸に伝えましょう。
日本語検定の級をJLPTのレベルに読み替えることはできない
日本語検定の級を、JLPTのレベルに読み替えることはできません。理由は2つあります。ひとつは、測る領域が違うことです。日本語検定は敬語、表記、漢字などを問い、JLPTは言語知識、読解、聴解を問います。もうひとつは、対象が違うことです。日本語検定委員会も、日本語を母語としない人を対象とするJLPTとは別の検定だと明記しています。
日本語検定2級の人を、N2相当と判断することはできません。履歴書に日本語検定の級しかない外国人の応募者には、JLPTやほかの日本語試験の結果を、あらためて提出してもらいましょう。
国際的な目安はCEFRとの対応で確かめる
国際的な目安として使えるのが、ヨーロッパ言語共通参照枠、略してCEFRです。JLPTは、2025年12月の試験から、合格者の成績書類にCEFRレベルを参考として表示しています。表示は総合得点に対応していて、同じレベルの合格者でも、得点によってCEFRレベルが変わります。
| JLPTのレベル | 総合得点 | CEFRの参考表示 |
|---|---|---|
| N5 | 80点以上 | A1 |
| N4 | 90点以上 | A2 |
| N3 | 95点〜103点 | A2 |
| N3 | 104点以上 | B1 |
| N2 | 90点〜111点 | B1 |
| N2 | 112点以上 | B2 |
| N1 | 100点〜141点 | B2 |
| N1 | 142点以上 | C1 |
CEFRの参考表示は、読む力と聞く力に対応するもので、話す力と書く力は含まれません。不合格の場合や、基準点に届かない区分がひとつでもある場合は、CEFRレベルが表示されません。N3に合格しても、総合得点が95点から103点ならB1ではなく、A2の表示になります。2025年12月より前の試験の成績書類には表示がありませんが、書類は引き続き有効です。
参考:国際交流基金「日本語能力試験(JLPT)の結果にCEFRレベルの参考表示を追加します!」
5つの仕事内容別に見る、求めるJLPTレベルの目安
必要な日本語力は、仕事の中身で変わります。JLPTのレベルに対する目安を、5つの仕事内容に分けて示します。
- マニュアルに沿った現場作業:N4〜N3
- 日本人と報告・連絡・相談しながら進める仕事:N3〜N2
- 接客・電話応対:N2
- 社内外の文書を扱う事務:N2以上
- 通訳・翻訳・管理職:N1
なお、この目安は、JLPTの認定の目安をもとにした採用での考え方で、法令で定められた基準ではありません。
マニュアルに沿った現場作業:N4〜N3
手順が決まっていて、指示が短い現場作業なら、N4からN3が目安です。N4は、ややゆっくり話される日常の会話であれば内容をほぼ理解できるレベルで、手順書の語句を覚えれば、作業をこなせます。
ただし、安全にかかわる指示や、急な変更の連絡は、N3に近い聞き取りの力がないと伝わりきりません。指示を出す側が、短い文に、写真や実演を添えて伝える体制を整えておけば、N4の人も現場に入れます。
日本人と報告・連絡・相談しながら進める仕事:N3〜N2
上司や同僚と報告、連絡、相談をしながら進める仕事では、N3からN2が目安です。N3は日常的な会話をほぼ理解できますが、業務の背景や、理由をともなう説明では、聞き返しが増えがちです。
N2は、自然に近いスピードの会話の要旨を理解し、一般的な話題の文章の流れや意図もつかめます。自分の状況を伝える報告や、指示の意図を汲み取る相談に対応しやすいレベルです。報告や相談が多い職場ほど、N2に近い力があると、手戻りが減ります。
接客・電話応対:N2
お客様と話す接客や、顔の見えない電話応対は、N2が目安です。電話は、表情や身ぶりで補えず、相手の話す速さも選べません。N2は、日常の場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの会話の要旨をつかめるレベルです。
ホテルのフロントのような接客で、技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請する場合は、所属機関の区分によって、CEFRのB2相当の証明資料が求められます。JLPTではN2以上が、B2相当とみなされる基準のひとつです。
社内外の文書を扱う事務:N2以上
契約書、見積書、社内の通知など、文書を読んで処理する事務は、N2以上が目安です。N2の認定の目安には、新聞や雑誌の記事、解説、平易な評論を読んで内容を理解できることが含まれます。N1では、論理が複雑で抽象度の高い文章まで広がります。
ただし、JLPTは書く力を測りません。文書を作る事務なら、成績に加えて、簡単な文章を書いてもらって確かめましょう。メールの返信を数行書いてもらうだけでも、敬語の使い方や、文のまとめ方がわかります。
通訳・翻訳・管理職:N1
通訳や翻訳、部下に指示を出す管理職は、N1が目安です。N1は、自然なスピードの会議やニュース、講義を聞いて、話の流れや論理の構成まで詳しく理解できるレベルです。総合得点が142点以上なら、CEFRのC1が参考表示されます。
通訳や翻訳は、話す力と書く力が仕事そのものなので、N1の合格に加えて、実際に訳してもらう試験で確かめるのが確実です。管理職の場合は、部下への指示や面談を想定した面接で、話し方を確認しましょう。
主な5つの在留資格と日本語レベルの要件
外国人を雇用するときの在留資格によって、日本語の要件は異なります。主な5つの在留資格の要件は、次のとおりです。
- 特定技能1号:N4以上またはJFT-Basicの合格が必要
- 特定技能2号:一部の分野でN3以上が必要
- 育成就労:就労を始める前に一定の日本語レベルが必要
- 高度専門職:N1・N2の合格でポイントが加算される
- 技術・人文知識・国際業務:試験の合格は要件ではない
以下、2026年10月時点の内容で、それぞれの要件の中身を確認します。
特定技能1号:N4以上またはJFT-Basicの合格が必要
特定技能1号は、技能試験と日本語試験の両方に合格することが原則です。日本語試験は、JLPTのN4以上か、国際交流基金日本語基礎テスト、略してJFT-Basicのどちらかです。JFT-BasicはCEFRのA2レベル相当の日本語力を判定するコンピューターのテストで、原則として毎月実施されています。N4もA2にあたるため、2つの試験は同じ水準を測っています。
技能実習2号を良好に修了した人は、職種を問わず日本語試験が免除されます。技能実習から特定技能へ移る人の採用では、日本語試験の成績書類がなくても、資格の要件は満たせます。
特定技能2号:一部の分野でN3以上が必要
特定技能2号は、現在、外食業と漁業の分野で、JLPTのN3以上の合格が求められています。そのほかの分野では、日本語試験の合格は求められていません。ただし、2027年4月1日以降の在留資格認定証明書交付申請から、全分野の2号に、日本語能力水準のB1相当以上が必要になります。目安はN3程度で、変更許可申請と更新許可申請の扱いは検討中です。
自動車運送業のバス・タクシーと、鉄道の運輸係員は、1号の段階でも、同じB1相当以上が求められます。どの試験の何点をB1相当と認めるかは、出入国在留管理庁の発表を確認しましょう。
参考:出入国在留管理庁「日本語能力水準『B1相当以上』の確認開始時期について」
育成就労:就労を始める前に一定の日本語レベルが必要
育成就労は、技能実習に代わる制度で、2027年4月1日に始まります。育成就労外国人は、就労を始めるまでに、日本語教育の参照枠でA1相当の試験に合格するか、それに相当する日本語講習を受けることが求められます。A1相当の試験には、JLPTのN5などが挙げられています。
受け入れ企業には、3年の育成期間が終わるまでにA2相当の日本語能力へ引き上げる講習を受けさせる措置が義務づけられています。3年後に特定技能1号へ移るには、N4などA2相当の試験の合格が必要です。
参考:厚生労働省「外国人育成就労制度における日本語能力向上のための取組について」
高度専門職:N1・N2の合格でポイントが加算される
高度専門職は、学歴、職歴、年収などをポイントに換算し、合計70点以上で認められる在留資格です。日本語は加点の項目で、N1の取得に15点、N2の取得に10点が加算されます。ただし、ほかのボーナス加点を受けている場合は、N2の10点は加算されません。BJTビジネス日本語能力テストなら、480点以上がN1、400点以上がN2と同等に扱われます。
経済産業省の委託調査では、高度外国人材の採用で求める日本語レベルを、N3レベル以上とする回答が93.8%、N2レベル以上が57.6%、N1レベルが15.9%でした。
参考:出入国在留管理庁「高度外国人材の受入れについて」
技術・人文知識・国際業務:試験の合格は要件ではない
技術・人文知識・国際業務では、日本語試験の合格は、これまで申請の要件に含まれていませんでした。2026年4月15日以降の申請から、所属機関がカテゴリー3または4、つまりカテゴリー1と2に当たらない場合で、主に言語能力を用いて対人業務などに従事するときに、CEFRのB2相当の言語能力を証明する資料が追加で必要になりました。翻訳・通訳や、ホテルフロントなどの接客が対象です。
B2相当とみなされるのは、JLPTのN2以上のほか、BJTの400点以上、日本留学試験の日本語200点以上、JPT日本語能力試験525点以上などです。日本の大学を卒業した人や、日本の高校を卒業した人、中長期在留者として20年以上在留している人も、B2相当とみなされます。
参考:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
JLPTのレベルで判断するときの4つの注意点
JLPTのレベルは便利な目安ですが、そのまま採用の判断にすると、見誤ることがあります。レベルを見るときの注意点は、次の4つです。
- 話す力と書く力は試験で測られていない
- 同じレベルの合格者でも得点に幅がある
- 漢字圏の出身者は読む力と会話力に差が出やすい
- 業務で使う専門用語は合格後に覚える必要がある
話す力と書く力は試験で測られていない
JLPTには、会話や作文の試験がありません。測っているのは言語知識、読解、聴解で、CEFRの参考表示も、読む力と聞く力に対応するものです。そのため、N2に合格していても、電話で自分の考えを説明できるか、報告書を書けるかは、成績からはわかりません。
話す力と書く力は、面接や課題で、採用する側が確かめることになります。筆記と聞き取りは得意でも会話に慣れていない人もいれば、会話は得意でも文字が苦手な人もいます。
同じレベルの合格者でも得点に幅がある
同じN2の合格者でも、総合得点には幅があります。N2の合格点は180点満点中90点で、112点以上ならCEFRのB2、90点から111点まではB1と参考表示されます。合格点に近い人と、112点以上の人とでは、22点の差があります。
成績書類は、合否だけでなく、総合得点と、言語知識、読解、聴解の区分別の得点まで確かめましょう。N1からN3の区分別の基準点は、どの区分も19点です。区分別の得点を見ると、聞き取りは強いが読解は基準点に近い、といった偏りも読み取れます。
漢字圏の出身者は読む力と会話力に差が出やすい
母語で漢字を使う人は、漢字で書かれた文を見て意味を推測できるため、読む力が得点に表れやすくなります。一方で、読解の得点が高くても、話す力や聞く力が同じ水準とは限りません。反対に、母語で漢字を使わない人は、会話が自然でも、漢字の読み書きに時間がかかることがあります。
応募者の母語を踏まえて、得点区分の偏りを見ると、面接で何を確かめるかが決まります。読解の得点が高い人には会話の課題を、聴解の得点が高い人には読み書きの課題を、重点的に試しましょう。
業務で使う専門用語は合格後に覚える必要がある
JLPTは、言語知識や読解、聴解の力を測る試験で、業種ごとの専門用語を身につけているかを確かめるものではありません。製造業なら工程や部品の名前、介護なら記録や申し送りの言葉、飲食業なら調理や衛生管理の言葉など、現場の用語は、合格後に覚えていくものです。
N2に合格した人でも、入社してすぐに専門用語がわかるわけではないため、用語集や写真つきのマニュアルを用意しておきましょう。入社前の面談で、実際に使う用語を10語ほど見せておくと、入社後の戸惑いが減ります。
応募者の日本語力を確かめる3つの方法
JLPTの結果だけでは、仕事で使える日本語力まではわかりません。応募者の日本語力を確かめる方法は、次の3つです。
- 成績証明書で総合得点と科目ごとの得点を確認する
- 面接で業務に近いやりとりを試す
- 簡単な読み書きの課題を出す
成績証明書で総合得点と科目ごとの得点を確認する
はじめに、JLPTの成績書類を確認します。合格者には日本語能力認定書が送られ、日本国内の受験者全員には合否結果通知書、海外の受験者全員には認定結果及び成績に関する証明書が送られます。認定書は合格したレベルを示し、成績書類は総合得点と、言語知識、読解、聴解の区分別の得点を示します。
採用の判断に使うなら、合格の事実だけでなく、得点が載った成績書類を見せてもらいましょう。JLPTの認定に有効期限はありませんが、結果が出た時期が古ければ、現在の力を面接で確かめます。成績書類が本物かどうかは、主催者に確認を依頼できます。
面接で業務に近いやりとりを試す
面接では、実際の業務に近いやりとりを試します。たとえば、電話の取り次ぎを想定した短いロールプレイ、前の職場での仕事の手順の説明、こちらの質問をいったん聞き返してもらう場面です。
面接官は、短い文で、ゆっくり、はっきり話し、相手が聞き取れているかを見ます。難しい言葉で質問しても、日本語力は測れません。わからないときに聞き返せるか、言いかえて質問し直すと答えられるかは、入社後の意思疎通を見る手がかりになります。
簡単な読み書きの課題を出す
簡単な読み書きの課題も出します。たとえば、業務の指示書や注意書きを読んで要点を答える課題や、1日の作業内容を数行で書く課題です。所要時間は10分から15分にして、辞書やスマートフォンの使用は、現場で使えるかどうかに合わせて決めます。
JLPTが測らない書く力は、この課題で確かめられます。課題の出来は、合否の判断だけでなく、入社後にどんな支援が要るかを知る材料にしましょう。
採用後に日本語力を伸ばす3つの支援
日本語力は、採用後の支援で伸ばせます。会社でできる支援は、次の3つです。
- 社内研修やeラーニングで学ぶ機会を用意する
- やさしい日本語で指示を出す
- 上位レベルの合格を評価や手当につなげる
社内研修やeラーニングで学ぶ機会を用意する
ひとつ目の支援は、日本語を学ぶ機会の用意です。社内で日本語研修を開く方法と、eラーニングを使う方法があります。業務時間内に学習時間を確保し、費用を会社が負担すると、学習が続きやすくなります。
育成就労では、受け入れ企業に、A2相当の日本語能力へ引き上げる講習を受けさせる措置が義務づけられています。この考え方は、育成就労以外の外国人の雇用でも、そのまま使えます。学習の目標は、N3、N2のように、合格を目指す試験で設定しましょう。
やさしい日本語で指示を出す
日本語力が伸びるまでのあいだは、指示を出す側がやさしい日本語を使うと、意思疎通が進みます。やさしい日本語は、短い文とはっきりした言葉で伝える話し方です。職場で試しましょう。
たとえば、「納品書を確認して、サインをもらってください」を、「納品書を見ます。サインをもらいます」と2つの文に分けるだけで、伝わりやすくなります。敬語や慣用句、あいまいな指示語は避け、数字と時間ははっきり伝えましょう。
上位レベルの合格を評価や手当につなげる
上位レベルの合格を、評価や手当につなげる方法もあります。たとえば、N3に合格したら、N2に合格したら、と段階ごとに資格手当や昇給を設けると、学習の目標がはっきりします。高度専門職のポイント制でも、N1は15点、N2は10点の加点になるため、日本語の上位レベルの合格は、在留資格の面でも本人の利益になります。
手当の額や条件は、会社が決めて、社内の規程に残しておきましょう。合格の証明は、JLPTの成績書類で確認できます。
外国人採用の在留資格手続きならai行政書士法人
応募者の日本語力の目安が決まっても、その人がその仕事に就ける在留資格を持っているか、これから取れるかは、別に確かめることになります。特定技能2号や技術・人文知識・国際業務のように、在留資格の要件は見直しが続いています。
ai行政書士法人は、札幌の行政書士法人として、在留資格の手続きを扱っています。外国人の採用を考え始めた段階から相談できます。初回60分まで無料で相談できるので、まずは気軽にお問い合わせください。
まとめ
この記事では、日本語検定とJLPTの違い、N1からN5のレベル、仕事内容と在留資格に応じた日本語レベルの目安を解説しました。日本語検定は日本語を使うすべての人を対象に正しく使う力を測り、JLPTは日本語を母語としない人の読む力と聞く力を測る、別の試験です。
外国人の応募者を見るときは、JLPTのレベルに加えて、総合得点と区分別の得点を確認し、話す力と書く力は面接や課題で確かめましょう。在留資格によって求められる日本語の水準も変わるため、採用する仕事と在留資格をそろえて考えると、手戻りが減ります。
外国人の採用や在留資格の手続きを考えているなら、ai行政書士法人への相談がおすすめです。在留資格の手続きを扱う札幌の行政書士法人として、採用の段階から相談できます。
よくある質問
- 日本語能力試験のN1はビジネスレベルですか?
-
N1に合格していても、ビジネスで話す力と書く力があるとは判断できません。N1は、読む力と聞く力がもっとも高いレベルで、認定の目安には、新聞の論説や、自然なスピードの講義を理解できることが挙げられています。ただし、JLPTには会話と作文の試験がないため、商談での説明や、報告書の作成は、成績からはわかりません。N1の成績は、仕事の資料や会議を理解する力の証明として使い、話す力と書く力は面接や課題で確かめましょう。
- 履歴書の「日本語能力試験1級」はN1と同じですか?
-
同じではありません。日本語能力試験は2010年に改定され、旧試験の1級から4級の4段階が、N1からN5の5段階になりました。N1は旧1級よりやや高めのレベルまで測れるようになりましたが、合格ラインは旧1級とほぼ同じです。そのため、旧1級に合格できる力を持つ人は、N1にも合格できる力があると解釈できます。1級という表記は、2009年までの旧試験の結果です。旧試験の結果も、認定に有効期限はなく、無効にはなりません。ただし、旧試験と今の試験の得点は比べられないため、現在の力は、面接で確かめましょう。
- 日本語能力試験は年に何回受けられますか?
-
年2回で、7月と12月です。2026年は、第1回が7月5日、第2回が12月6日です。海外では、7月だけ、または12月だけ実施する都市もあるため、受験したい都市の実施日を、事前に確認しましょう。特定技能1号や育成就労の日本語試験であれば、JFT-Basicが、原則として毎月実施されています。
- 日本人も日本語能力試験を受けられますか?
-
母語が日本語でない人なら、日本国籍があるかどうかに関係なく受験できます。年齢制限もありません。たとえば、海外で育ち、母語が日本語でない日本国籍の人も、受験の対象です。一方で、母語が日本語の人は、原則として対象ではありません。ただし、日本の国家試験を受けるためにJLPTの受験や認定が必要とされる場合は、受験地の実施機関に相談できます。
- JLPT以外の日本語試験も採用の判断に使えますか?
-
使えます。目的に合う試験を選びましょう。
・JFT-Basic:A2相当を判定し、特定技能1号などで使われる
・BJT:技術・人文知識・国際業務で、400点以上がB2相当とみなされる
・日本留学試験の日本語:200点以上が、B2相当とみなされる
・JPT日本語能力試験:525点以上が、B2相当とみなされる日本語検定は、日本語を母語としない人を対象とするJLPTとは別の検定で、外国人の日本語力を比べる基準には向きません。
- N1・N2の合格率はどのくらいですか?
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JLPTの認定率は、2025年12月の試験で、日本と海外の合計がN1は29.8%、N2は33.0%でした。日本国内に限ると、N1は24.0%、N2は25.4%で、海外ではN1が34.2%、N2が40.9%です。認定率は、受験者に対する認定者の割合で、試験の回ごと、受験する国や地域ごとに変わります。採用では、認定率の高低よりも、応募者本人の総合得点と区分別の得点を見ましょう。

